6 .私は町で、思いをもらす。

「ねぇ、まこさんはさー」


「な、なな、なんだ!?」


 緊張して、立石みたいに顔が真っ赤になっている。今まで女の子とふたりきりになることなんて……なかったな。誰もアイドルの私に話しかけないから。だから今、ドキドキしている。


「立石君のこと、どう思ってるの?」


「ど、どうって!」


 心臓が跳ねた。

 あいつの名前を聞くと、調子が狂う。


 どうなんだ?

 私はどう思ってる?


「好き?」


 畳みかけられる。


「えーと、あー……」


 なんだかすんごい恥ずかしい!


「あなたは!?」


 なんとか話題を逸らす。


「えー、私?」


 困っているような素振りだが、なんか演技くさい。


「おう!」


「私は好きだよ、立石君」


「え!?」


 この子、あいつのことが好きなのか!?


「佐藤みたいに頼りないけど、いざってときは頑張ってくれそう」


「そ、そうだな」


 それはあってる。

 でも……。


「もし、まこさんが立石君に興味ないんなら……」


「……」


 私はゴクリとつばを飲み込む。

 なぜか嫌な予感がする。


「私、もらっちゃおうかな〜」


「ダメだ!」


 反射的に言葉が出てきた。


「あいつは……立石は!」


「……」


 そんな私をじっと見つめるネコミミガール。


「私のパートナーだから!!」


「ふふっ、そっか〜」

「それじゃあ、やめとこうかな〜」


 意地悪そうに微笑んでいる。


「二人はどうやって出会ったの?」


 急に話題が変わった。


「えーと、話せば長くなるんだが……」

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