大きな支援ができる国にしなきゃいけないんだ
世の中が綺麗事で動いてる訳じゃないなんてことは、私だって分かってる。
実際、これは後で知ったことだけど、実はメロエリータのシャフセンバルト家が属してる<派閥>は、軍事関係に大きな影響力を持つもので、対してキラカレブレン家が属してる<派閥>は、農業や産業に影響力を持つものだったんだって。
だから本当は、軍事関係に影響力を持つ方に私のカリン商会が加わっちゃったことで、農業や産業に影響力を持つ方にしてみれば縄張りを荒らされたような形になっちゃって、かなり<議会>が紛糾しちゃったりしたこともあったらしい。そんな中でメロエリータはお歴々相手に一歩も引かない弁舌をぶって、向こうの派閥の意向も聞き入れる代わりにシャフセンバルト家がカリン商会の後ろ盾になることを認めさせたらしい。
ファルトバウゼン国王陛下に拝謁賜った時に、農業を管轄する大臣であるトランゼンベス卿がちょっと怖い顔をしてたのは、その辺りの事情があってのことでもあったみたいだね。教え子の一人でもあって事情をよく知ってる筈のシャフセンバルト卿がカリン商会の後見を自分達の派閥に譲らなかったから、内心穏やかじゃなかったんだって。
ただそれも、私があまりその辺の事情を察してなくて、しかもただ農業の発展を願ってるだけだっていうのを直接会ってみて感じたから認めてくれたみたい。
は~、何と言うか、そういう裏の事情っていうのもどこの世界でもあるんだね~って実感したよ。
メロエリータが『貴族や王族は特に信じるな!』と念を押す理由がまた分かった気もする。
だからキラカレブレン卿のことも、良い人なんだけど、まるっきり気を許してしまうのは危険だっていうのは心掛けたいと思った。もちろん、これからも親しくはさせてもらうことになると思う。もし彼が、私を利用するだけじゃなくて本気で私のことをいいと思ってくれるなら、け、結婚…とかだってやぶさかじゃない。
でも、今はとにかく、ブラドフォンセス国王陛下にお目通り願って、この国でも農業の発展に貢献したいと思う。そしてそれを材料に、ファルトバウゼン王国とブラドフォンセス王国の同盟をより強固なものにする役に立ちたい。
そうすることがきっと、戦争を減らすことに繋がると思うし。
だけど同時に、ファルトバウゼン王国から遠く離れた国々では今まさに戦国時代さながらに戦争が繰り広げられてたりもするらしい。そういう国々に面した、ファルトバウゼン王国の同盟国に対しては、大きな支援がこれからも期待されてるってことだった。
だからその為にも大きな支援ができる国にしなきゃいけないんだ。
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