おっぱいか!? そんなにおっぱいがいいのか!? よろしい、ならば!
私は、自分で言うのもなんだけど、エキセントリックな性格をしてると思う。感情の起伏が激しくて、口が悪く、性格も悪い。攻撃的で我が強く、子供の頃はそれこそクラスでメソメソウジウジしたタイプの子がいたら苛々して怒鳴り散らすような<悪童>だった。
そしてそれは、間違いなく両親の姿を真似たもの。あの人達は典型的な『自分さえよければそれでいい』タイプだった。子供のことは召使か奴隷程度にしか思っていない。
だから私の兄は両親そっくりのどうしようもない人間に育って、私がまだ小学生だった頃には家にも帰らなくなってそのまま消息不明に。今頃、ヤクザか何かになってるんだろうなって思う。
私はそんな両親や兄とは同じになりたくなくて一念発起してバイトをして勉強もして、学費が安いからと国立大学を選んだ。そこで出逢った教授や先輩がすごくいい人で私はその人達に導かれて大きく変わった。
それからさらにこの世界に来てネローシェシカに救われてアウラクレアに出逢って<家族>を得た。一人で全く知らない世界に放り出されたのは悲しかったし辛かったけど、それと引き換えにかけがえのないものを得られたんだって思う。
こうして私はこの世界で生きていく覚悟を決めた。その為には仕事だ。大学で、効率よく肥料を作ることを研究してた私が、ウンチをただ棄ててるだけのここの人達の様子を見てそれを活かそうと考えるのは自然なことだったかもしれない。
幸い、アウラクレアが味方してくれたことで出だしは非常に順調だった。一見すると温和で人当たりが良く『おっぱいが大きい』彼女はとてもモテて、町の男共は彼女の頼みとあればだいたいなんでも聞いてくれた。
そこで、町に隣接する農地で農業を営んでるバンクハンマ・トーレシを口説き落として、堆肥の実験に協力してもらえることになった。
と言っても、先にも言った通り、普通に魔法で処理しただけなら堆肥には向かないものになってしまう。だから私は魔法がどのように作用してウンチを変化させていくのかを徹底的に調べた。具体的には、どんな微生物がどう働いてウンチの中の有機物を分解し変性させていくかを調べたのよ。
途中までは、普通に堆肥ができる形で変化していくことが分かった。でも有機物が分解され切ると、魔法が作用する範囲内の酸素も消費され切って酸欠状態になり、酸素が必要な細菌は急速に不活性化。逆に、酸素がなくても呼吸できる細菌は、生成された硝酸塩を使って代謝を行い窒素ガスに変えてしまう。
堆肥として利用するには、『生成された硝酸塩を使って代謝を行い窒素ガスに変えてしまう』部分の反応が余計なの。だから私は、それまでの呪文に、順次酸素を送り込む一節を加えた。
これは、<息苦しくなった時にそれを整える呪文>を応用したものね。
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