とっても悪い人の話

仲仁へび(旧:離久)

第1話




 私は良い子だから、ちゃんとママの言いつけを守らなくちゃ。





 家の中にいる時に、ママがあの人はとっても悪い人だから口をきいてはだめよ、と言った。


 だから私はパパとは口を聞かない事にした。


 近所を歩いている時に、ママがあの人はとっても悪い人だから口をきいてはだめよ、と言った。


 だから私は、近所の人とはお話しない事にした。


 公園の近くを通った時に、ママがあの子はとっても悪い子だから口をきいてはだめよ、と言った。


 だから私は、友達だった子とはそれから遊ばない事にした。


 テレビを見ている時に、ママがああいう人達はとっても悪い人達だから無視しなさい、と言った。


 だから私は、制服を来た知らない人達が来た時に、玄関をあけなかった。





 ねぇ、ママ。

 

 私えらい?


 良い子だよね。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

とっても悪い人の話 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ