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その後、廊下は、ちょっとした騒ぎになった。
署内にも関わらず、野次馬が増えたため、マネージャーの板垣さんが、自分が着ていたコートを紫津木藍の頭から被せ、とりあえず僕達の課に入ってもらった。
扉を完全に閉め、外界からシャットアウトすると、板垣さんが「申し訳ございません!」と、紫津木藍の頭も一緒に抑えつけながら、頭を下げた。
「その…あの方は?大丈夫でしょうか?」
「医務室に連れて行きましたので大丈夫ですよ」
ホッとした表情を浮かべた板垣さんに比べ、舌打ちをした紫津木藍。
反省してねぇな。
この現況をつくった須藤警部は、「スッキリした」なんてのたまわり、本店に帰って行った。無責任な。
「一つの事で頭がいっぱいになると、他の事が見えなくなる欠点がある。いつも言ってるだろ? 自分の立場を理解して、少しは気持ちを抑えなさい」
「オレだって、少し抑えとけば良かったって反省してるよ」
「おお。そうか」
「そのせいで気絶させちまったんだし、おかげで、苦痛に歪む顔が見れなかった」
えーと…何て言えば?
板垣さんも、口をパクパクさせてるだけで、二の句が出ないようだ。
「……それでは、お話伺いましょうか?」
そう言う後藤さんも、顔が引きつっている。
「ひとりずつ、別室で伺います」
「ここで話した事が、外に漏れる事は無いんですよね?」
「それは大丈夫ですよ」
それでも心配なのか、紫津木藍をめっちゃ睨んでる。
当の本人は、視線を感じたようで明後日の方を向いてしまった。
大丈夫…なのか?
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