須藤警部から連絡があった。


どうやら署の前で待ち合わせたらしい。


2人が到着したから課までお連れするとの事。



「鈴木、途中まで出迎えてこい」


「はい。行ってきます」



モデルというからには、顔が良くて背が高くて適度に筋肉もあって…て、ダメだ。チャラいヤツしか思い浮かばない。


板垣という人も、元モデルで今は、マネージャーを務めているらしい。


兎に角、のまれないように気を付けなきゃ。



廊下に出ると先輩が被疑者を連行していた。



「これから取り調べですか?」


「ああ。そっちは?」 


「被害者の関係者を迎えに」


「えっ?署内に居るのか?」


「はい。ぁ…でも、まだ受付の辺りだと思います」


「そっか。鉢合わせしないように気を付けないとな」


「……そうですね」



でも、お互い知らないはずだから、最悪、会ったとしても変な事にはならないと思うけど。


そんな事を話していた矢先、目の前のエレベーターが開き、3人の男性が現れた。ひとりは、須藤警部。という事は、他の2人が……?


高そうなスーツに身を包み、背の高いヤツだけが着こなせる丈の長いコート。キャリーバッグを転がしながら、降り立った姿は……。

オーラが違う。そいつの周りだけが空気が違った。どっちが紫津木藍か直ぐに判る。

ハーフ?なのか?色素の薄い瞳で、真っ直ぐ前を見据えている。



「あれ?向こうからお巡りさんに繋がれて来るヤツ、あのエロ糞ジジィじゃね?」



ぇ…?須藤…警部? 何…言って…?


戸惑っていると、紫津木藍が前に出てきた。


……ぇ?


コートの裾を翻して身体を回転させた。それはまるで、美しい演舞を見ているようで、思わず見惚れていると、ドサッと大きな音がした。


鬼のような形相で、床を睨み付けてる。


一体、何が?


彼の視線を辿っていくと、


被疑者が……倒れていた…。



「足が長過ぎて悪ぃな」



は?ぇ…?ていうか、今、何が起きた?

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