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 それから、この木野という男は、弁護士なのに雰囲気や面構えはまるでマフィアのボスといった感じで、『探偵物語』に出演している松田優作の横幅を広げてもっと悪い人間に仕立てた感じであり、豊永は直感的に、コイツは悪人だと判断した。もちろんそれはあくまで先入観であり、実際のところはわからなかった。

 手にしていた書類から目を離し、弁護士は「相談料は三〇分五〇〇〇円だ」と、低いのによく通る声で言った。

「そういう相談ではなく、波川社長の代理できました」


(続く)

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