(二)-16

 豊永晴雄は、車を走らせ、木野の事務所を訪れた。

 事務所の事務員にアポがないことを理由に面会を断られたが。波川社長の使いで来たと伝えると取り次いでもらうことができた。

 奧の部屋に入ると、ダークブラウンの木目調の壁がシックで落ち着いた雰囲気だった。真ん中には対になった黒の革のソファーセットがあった。奥の窓際にはデスクがあり、ダブルのスーツを着た恰幅のよい男性が座っていた。その背後には、革のチェアに座った弁護士よりも背の高い金庫がどっしりと構えていた。金庫とはいえ、弁護士の事務所だ。中には金ではなく、様々な書類が詰まっているのだろう。客のプライバシーを守るためにも。


(続く)

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