(二)-15

 波川社長はいい意味でも悪い意味でも凡人だった。社長業をやれているのが不思議なくらいだった。ただ、悪人ではなかった。だからこそ、自分の警備会社の現金輸送車を襲い、保険金を騙しとろうなどという発想を自分で思いつけるはずがない。その入れ知恵したのが、その顧問弁護士なのだろう。

「誰です、その顧問弁護士って」

「木野弁護士だよ。もう一人お手伝いする人を君のとこにやったでしょ。それも彼が手配してくれたんだ」

 それを聞き、豊永は「ちょっと会ってきます」と事務所を出た。


(続く)

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