第36話 女子の反感
「どうですか、みなさん。
二人とも万全の状態で戦った方が良いと思いますかー?」
エラちーが問いかける。
「今さら変更か。
ちょっとな、ダメージの多いアザム団長が得しすぎないか」
「ん-、しかしよ。
アザムさんのあのケガで戦うのは見てても心配なだけで楽しく無いぜ」
男性は賛成、反対半々くらいの雰囲気。
「そうよね。
お互い万全の方がフェアな戦いだと思う。
……そうなったらあの小娘に勝ち目は無いんじゃない……」
「うん、二人とも回復してもらった方が心配なく見れるわ。
……あの小娘に勝たせるなんてイヤよ……」
アタシの背筋にゾクっと走り抜ける悪寒。
女子の悪意を受けてる気がするー。
ナッシーの時に女子に反感買いすぎたかもしんない。
「どう、ステュティラちゃん。
どちらかと言ったら君が損する提案だと思うけど……」
エラちーが言い淀む。
それが分かっていて、アタシに訊いてくるのは。
アザ熊がホントウに傷だらけだからだろうな。
団長の事は心配だし、でもアタシを不利な立場にするのも気が引ける。
ってそんなカンジ。
だから、言ってるじゃない。
アタシそーゆーメンドくさいのが大キライ!
「良いわよ。
アザ熊傷だらけだもん。
そんなんと戦うのアタシだってイヤ!
回復させてあげて」
アタシの声が響いて。
おおっと会場中がどよめいた。
「かぁっこいいーーーー!」
「ステュティラちゃん、やっぱしいいな」
「さすがステュティラちゃん」
「思い切りだけは良いよな」
男性客や、道場の連中はそんなカンジ。
「なーに、あの娘カッコつけちゃって……
でもハッキリしてて良いわね」
「何様よ、アザム団長と同等のつもりなの……
でも、カッコいいじゃないの」
女性客の目線も少し変わった……かな。
と言っても別にそのためにOKしたんじゃない。
ただアタシはメンドくさいのがキライなんだ。
ヘレーナさんも微笑みを浮かべてる。
「ステュティラちゃん、やるじゃない」
「んんん、でもこれって認めちゃったら不利になるんでしょ。
断った方が有利なんじゃ……」
「みゃみゃみゃ」
エステルや男爵は不安げな表情。
「でもオッケーするのがステュティラちゃんなんでしょ」
「……そう言われるとそうだね」
「んみゃーみゃみゃ」
ヘレーナさんが言って、エステルや男爵がうなずく。
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