第23話 イケメンに限る
アタシの攻撃は外れたってのに、観客たちは湧いている。
「ナシール様がっ?!」
「まさか、あんな小娘にやられるなんて」
「すごーい、あの娘。
ナシール副団長を倒しちゃった」
「回転蹴り?!
イチかバチかの大技が決まっちまったのか?!」
女性や男性、興奮してる観客の人たち。
何言ってるのかしら。
アタシは大技を繰り出したけれど、それは外れたハズよ。
足に何の手応えも無かったもの。
「ステュティラちゃん、やりやがった?!」
「副団長を怒らせちまった。
俺は知らんぞー」
「にしてもあんな大技が決まっちまうとはな。」
ステュティラ、持ってるな」
なんで?!
ウチの道場の人間までアタシの大技が決まったとカンチガイしてる。
アタシの胴回し回転蹴りはなんの足応えも無かった。
ナッシーに避けられたハズよ。
なのに見るとナッシーは倒れていて。
ナッシーのところへエラちーが近づいて行く。
「ナシールさん、大丈夫?」
「おう、これ以上はケガしたくねぇ。
俺はここで降りるぜ」
「ん-、ホントに?」
「なんだ、なんか文句あんのかよ」
「いーや。
僕はいいんだけどさ。
彼女が納得いかないって顔してるよ」
と言ってるエラちーの視線はアタシを見てる。
アッタリマエのモチロン。
「ちょっと!
アタシの蹴り当たって無いハズよ。
足に手応えあったかどうかくらい分かるんだから。
せいぜいかすめた程度。
ナッシーがダウンするワケ無い……」
ハッと思うと、アタシの口を誰か手で塞いでいた。
すぐ近くに長い髪、整った顔の男がいて。
つまり、アタシの口に手を当ててるのはナシール副団長ことナッシーだった。
「……?!……???……!!!……」
「しーっ、静かにしろ」
アタシはアタマがグッチャグチャのグチャ。
混乱しまくり、脳みそから血液逆流して、鼻血になって溢れてくるんじゃないか、ってくらい。
だってアタシの耳元すぐ横に、イケメンフェイスがいるの。
そしてしーっなんて耳元に息吹きかけてくんの。
やばい。
頭クラクラする。
アレシュとかがこんな近くに寄って来たなら、キモイとグーパンしてる場面よ。
これか。
これがウワサに聴く『イケメンに限る』とか『イケメン無罪』ってヤツか。
確かにウワサ通り頭がどうにかなりそう。
もしかしてアレか。
他の人から見たらアタシってば顔を真っ赤にしてテレてるのか?!
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