第3話 イベント?

そんな訳でアタシはファオランを呼び出した。


「へー武術大会?!

 おもしろそうネ」


「今年の種目は素手の格闘なんですって。

 ファオランさんならキット活躍できます」


砂の国の発音に慣れてなくて、少しカタコトのファオラン。

それでもこれだけ話せればリッパなモノよね。

話してるのはエステル。


「ステュティラちゃんやエステルちゃんも出るノ?」

「わたしは、格闘はムリですよ。

 槍だったら今修練してますから、挑戦してみたいですけど」


「アタシもパスね。

 剣が専門なの。

 素手でテトラと勝負なんてやってられないわよ」


「そうネ。

 ティトラウステスさんはデキル。

 でも……ワタシが興味あるのは……

 ティトラウステスさんとの勝負ヨリモ」


「ねぇ、ステュティラちゃん。

 会場で屋台出しちゃダメかしラ。

 見物人も入れてハデに行きまショウヨ」


屋台、そんなの出したコト無いわ。

ファオランは目を輝かせている。


「イベント!

 お祭り!

 と言えば稼ぎ時ネ」


イベント?!

大会とは名乗ってるけど。

ウチの武術大会なんて、道場に通ってる人間だけしか参加しない。

5人から10人の勝ち抜き戦で順位争い。

見物人だって10人いるかどうか。

ファオランってばなんかカンチガイしてないかしら?

エステル、説明してあげてよ


「フッフッフ!

 やるワヨ。

 やってやるワヨ」

「ファオランさん、アタシの大会って言い方がマズかったかもしれません。

 そんなに人数はいないんです。

 毎年10人とか多くても20人くらいの規模なんです」


「ダーイジョウブ!

 護衛団の人にも参加させマショ。

 すぐに人なんて集まるワヨ。

 アザム団長には話すればイーワ。

 あっ、どうせならアザムさんにも大会にエントリーお願いしてみまショ」


えーと。

多分これってばファオランを道場に呼び寄せてテトラが良いトコ見せたい、ってだけの話だったハズなのに、なんだか大きな話になっちゃったのかしら?


「ステュティラちゃん、ターヒル先生に話通しておいてネ」

「イヤよ。

 自分で話しなさいよ」


「アタシからもモチロン後で正式に話スルネ。

 デモ事前にステュティラちゃんから軽く話を通じておく。

 根回しッテ奴ナノヨ」


だから!

そーゆー、根回しとか、メンドくさいのがニガテなんだってば!

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