第11話 ジャック

「キミたち落ち着いて」


「テメェ、良く見たら貧相ニャ猫じゃニャいか」

「キングだと、偉そうにしてやがって」


キングとその部下猫たちは仲間割れ。


いつの間にか、わたしの周りには大勢の猫たちがいた。

グレイさんとリリーさんだけじゃにゃくて、ヤジウマ猫。

わたしとキングさんが揉めてるフンイキだったからか、遠くから様子を見ていた猫。

わたしの知り合いのシャム姉さんや、よく見かける親子猫もいる。

子供の猫が叫ぶの。


「すっごい、みゃー様!

 新しいボス猫やっつけちゃった。

 じゃあじゃあ、これでみゃー様が新新ボス猫ニャの!」


いや、それは……お断りしたいわ。

そんにゃわたしの声はかき消された。


「もっちろんだぜ!

 もともとみゃー様はこの街の女王猫。

 バステト女神さみゃの遣いでもあるんみゃから、天使様。

 女王天使猫みゃのさ」


グレイさんが腕を上げて、他の猫たちにあおる。


「女王! 女王!」

「天使! 天使!」


「みゃー女王様ー! ステキー!」

「みゃー天使様ー! カッワイイ!」


「女王天使猫! ニャんてみゃー様にピッタリ!」

「女王天使猫! 女王天使猫!」


にゃんて声が上がってしみゃうの。


「みゃーーーっ!!!

 これ以上変にゃにゃまえつけるにゃ、って言ってんでしょーっ!!!」


わたしは飛び上がって、グレイさんの顔をバリバリと爪でひっかく。

冗談じゃにゃいの。


わたしにはみゃー、ってステキにゃにゃまえが有るって言ってるでしょ。

多少譲歩して男爵って呼ばれるくらいは認めてあげてもいいわ。



わたしはその後、キング猫を連れて行った。

何処にって、エラティさんの部屋よ。


「あれっ? みゃーちゃん。

 うわっ、ズブ濡れの猫どーしたの」


「……うーん、じゃこの子の毛を刈っちゃえばいいんだね。

 そうだね。

 こういう長毛の猫は北の方の土地に多いハズなんだ。

 この国じゃ暑いよね。

 毛を短くした方が濡れても乾きやすいし」


猫の言葉にゃんて分からにゃいハズにゃのに、にゃんとにゃく察してくれるエラティさん。

さすがに難しい注文かとも思ったんだけど、通じちゃうのね。

さすが、としか言いようがにゃいわ。



「騒がしいニャ。

 あーっ、オマエキングじゃねぇか。

 ニャんでここに?!」


虎タルさんが騒ぐけど。


「フフフ。

 わたしはもうキングじゃニャいんだ。

 わたしはクイーンの忠実ニャ兵隊。

 改めてジャックとニャのらせてもらおう!」


元キング猫はヘンにゃコト言ってる。

クイーンてわたしのコト……だったりしにゃいわよね。

わたしはフツーの黒猫、エステルちゃんの家族のみゃーで良いんだってば。


その後虎タルさんがケガから回復して。

わたしは猫たちの前で宣言した。

ボス猫はヤメ。

わたしフツーの猫に戻ります。

にゃんだかアイドルの卒業みたいににゃちゃったけど。


後のボスは虎タルさんにお任せ。

その右腕がグレイさん。

ジャックとにゃを変えた猫はその左腕に就任したみたいよ。


「我らクイーンに仕える三獣士」

そんにゃ良く分からにゃいセリフ言ってるみたい。

わたしクイーンにゃんかじゃにゃい、って言ってるのににゃー。

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