第8話 キング猫

「自分はでみゃんすね。

 ボス猫が変わったワケで、その下で働くのが正しい猫としての在り方かニャー、ニャんて思った次第で」


グレイさんがリリーちゃんとわたしに睨まれて言い訳をしている。


「うむ、この街の猫がイマイチ新しいボスのキング様に従う様子がニャいのでニャ」

「理由をコイツに訊いたら、この街にはボス以上の女王猫が居ると言うじゃニャいか」


「女王猫を倒さニャきゃ、ホントのボスと認められませんぜ、と情報を持ってきたのもこのグレイだ」

「だから女王猫を我々が攫って来たのだニャ」


「ああーーっ、そんニャコト!

 みゃー様に言っちゃダメでみゃんすーっ!!!」


グレイさんが更に慌てる。

でもムダよ。

もう聞いちゃったもの。

女王猫を倒せ、ってコイツラに吹き込んだのもグレイさんにゃのね。


「違うんでみゃんす。

 違うんでみゃんすーーっ!

 俺がみゃー天使様のコト裏切るワケニャいでしょー!

 信じてくださいっ!!!」

「信じられるモンですかーっ!!!」


わたしに替わって答えるリリーちゃん。

まー、その通りだわね。



「ニャんだね、キミたち。

 騒がしいじゃニャいかい」


その声が聞こえたのはそんにゃ時だった。

にゃんだか威厳のある声よ。


「ああっ、キング様!」

「キング様だ!」

「我らのお慕いするキング様」


そこら中のフサフサした毛の猫たちが頭を下げて。

現れたのは新しくボス猫ににゃった『キング』と呼ばれる猫。

この猫が。

見るとピンと頭を上げた猫がノシノシと歩いて来る。

歩くのに合わせて長い毛が揺れる。


「出たわね。

 アゴヒゲ猫」

「私の胸毛の事かね」


リリーちゃんの言う通り。

その首の下とゆーか、胸元とゆーか。

長い毛がモサッと生えてる。


「どうだね。

 気品あるだろう。

 これが王者の印と言うモノだよ」


にゃんて名前だったかしら。

こんにゃ猫いたわよね。

ノルウェージャンとか言うんだったかしら。


「みゅう、さすがキング様。

 あの胸毛の揺れる様子。

 威厳に溢れてるのみゃ」

「確かにみゃ。

 俺らには絶対みゃね出来ニャいお姿みゃ」


周りの猫たちが見惚れにゃがら言っている。

確かに威厳がある、と言われればそんにゃ気もするけれど。


「フフフフ。

 キミたちが女王猫と言うメスの子たちかい」

 

そのキングがわたしとリリーちゃんを見てるの。

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