第7話 幹部みニャらい

わたしはホルムスの街の人気の無い公園に居る。

キングと名乗る猫の手下たちに連れて来られたの。

わたし一人にゃら逃げちゃっても良かったんだけど。

リリーちゃんもここには居る。

彼女を放っておく訳にもいかにゃいのよね。


「女王猫を連れて来たぞ」

「二にゃんいるじゃみゃいか。

 どっちが女王ニャんだ」


「それが分からんのだ」

「アタシが女王猫だって言ってるでしょ」


この猫たちが女王猫にどんにゃ用事か知らにゃいけど。

ろくでもにゃいはにゃしに決まってるってのに、リリーちゃんはそう主張してしまうの。


「そうだ、アイツに確認させよう」

「そうだニャ、アイツニャら分かってる」


アイツ?

わたしとリリーちゃんを攫って来た猫たちが言うの。

誰の事かしら。


「ほれっ、さっさと来い」

「どっちがこの街の女王猫か。

 お前ニャら知ってるだろ」


「ヘイッ、お呼びでみゃんすか。

 ただいま、みゃいりみゃす」


そこに現れたのは灰色の背の高い猫。

逃げ足のグレイさんだった。


「げぇええええっ!

 みゃんで、天使サマがここに?!

 ウソでみゃんしょ。

 リリーまでいるじゃみゃいっすか!」


グレイさんはわたしとリリーちゃんを見て驚いている。


「ニャーに、アンタ虎タルの右腕とか名乗ってたヤツじゃニャいの。

 ニャんでここに居るのよ?」


リリーちゃんが騒ぎ立てる。

そうよね、わたしも訊きたいわ。


「いや、それはでみゃんすね……

 えーと、いろいろ猫にも事情ってモンがありみゃして」


「ニャんだ、知り合いニャのか」

「このグレイってヤツはニャ。

 この街のボス猫がキング様にニャって

 自分から売り込んで来たのみゃ」


キングの手下のフサフサした猫たちが説明するの。

売り込んできたってにゃーに?


「この街の猫のコトニャらニャんでも知ってみゃすぜ。

 お役に立ちますから幹部に取り立ててくださいってニャ」

「みゃだ、役に立つかどうか分からんからニャ。

 現在は幹部みニャらいだ」


「ニャんですってー?!

 虎タルのお友達だと思ってたのに。

 裏切ったのね」


「裏切ったニャんてそんニャ。

 猫聞きの悪い……

 ただ自分はでみゃんすね。

 ボス猫が変わったワケで……そしたらですみゃ。

 その下で働くのが正しい猫としての在り方かニャー、ニャんて思った次第で」


グレイさんはリリーちゃんに睨まれて、シドロモドロににゃってるわね。

わたしも少し冷たい目線でグレイさんのコト見ちゃうわ。

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