第6話 キングからの招待

ティトラウステスさん、ステュティラちゃんの兄妹は置き去りにして。

わたしたちは家でくつろいでる。


「ハァーッ、ツッカれたワ。

 ティトラウステスさん、悪い男じゃないンダケド。

 積極的スギて少し引くのネ」


ファオランさんがグチを言ってるのを横目で見にゃがら。

わたしとリリーちゃんは猫会議。


虎タルさんを倒したのは『キング』と名乗ってる猫らしい。


「ニャんかエラそーニャの。

 アゴヒゲにゃんか生やしちゃって。

 今度見つけたら、アタシがボコボコにしてやるわ。

 虎タルの敵討ちよ」


そんにゃコト言ってるけど、さすがにムリじゃにゃいかしら。

リリーちゃんはわたしと同じくらいの大きさの白猫。

猫のにゃかでは小柄な方よ。

あの大きにゃ虎タルさんがかにゃわにゃかったんですもの。


「じゃあわたしそろそろ帰るわね」

「あらっ、行っちゃうの?」


「うん、そろそろ夕方だもの。

 遅くにゃっちゃったら、エステルちゃんが心配するわ」

「ふーん、そ」


そっぽを向くリリーちゃん。

にゃんか少し淋しそうね。

ファオランさんと彼女は最近、この交易都市ホルムスに来たばかり。

頼りの虎タルさんがケガで倒れちゃって、心細いのかしら。


「ここがリリーちゃんの家だって分かったから、又遊びに来るわ」

「ニャによ。

 アニャタとワタシは女王猫の座をかけたライバルニャんですからね」


にゃどと口では言ってるリリーちゃんだけど、わたしの後を送ってくれる。

うーん。

その昔ツンデレって言葉が流行ってるって聞いて。

その時はにゃにが良いのかゼンゼン分からにゃかったけど。

こんにゃカンジにゃのかしら。

だとしたら、確かに少しカワイイわ。


わたしが武術道場ズールハネを通り過ぎ、自分の家に向かおうとすると。

そこには数匹の猫が待ち構えていた。


「おいっ!

 キサマ女王猫とか言うヤツだニャ!」

「ウム、黒くて気品のある小柄な猫。

 みゃちがいあるみゃい」


にゃがーい毛をフサフサとさせた猫たち。

わたしは無視して通り過ぎようと思うんだけど、リリーちゃんが応えちゃうわ。


「ニャによ、アンタたち!

 女王猫ニャのはアタシよ」


「ムッ、そうニャのか?」

「黒猫と聞いていたが……」


「それは昔のはニャし、

 現在は白猫のアタシが女王ニャの」


「……どうする?

 黒猫と白猫、どっちを連れて行くべきか」

「二匹とも連れて行けば良かろう。

 どっちかはホンモノの女王猫だ」


「ニャるほど」

「良し、オマエラ着いてこい」 


どうしましょう。

これでわたしだけ逃げたら、リリーちゃんが掴まるわ。


「ニャんの用なのよ?」

「キング様がお呼びだ」


キング?

それってもしかして、虎タルさんをボコボコにした猫のにゃ前?

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