第4話 ステュティラちゃんの家

「トラ樽は街のボス猫よ。

 だから勝負を挑みゃれたら、逃げる訳にはいかニャいの」


リリーちゃんが説明してくれる。

彼女によると、トラ樽が勝負を挑まれて出かけていったら、そこに大量の猫が待ち構えていた。

こっちはトラ樽さん一人。

いくらトラ樽さんが大きいボス猫と言っても多勢に無勢。

ボコボコにされちゃったみたい。


「確かにそれは卑怯ね」


わたしはリリーちゃんに相槌をうつ。

と、にゃぜだかトラ樽さんが否定するの。


「いいんです、みゃー様。

 リリーも止めねぇか。

 一対一の決闘にゃんて決めた訳じゃねぇ。

 俺が勝手にカンチガイしただけみゃ」

「トラ樽~

 傷だらけでそんみゃコト言ってる場合ニャの」



「はーい、そこまで」


わたしたちの会話を遮ったのはエラティさん。

猫の言葉にゃんて分かるハズがにゃいのに。

ある程度通じちゃうフシギな美少年。


「みゃーちゃんがお見舞いに来てくれて嬉しいのは分かるけどさ。

 オマエ、重症なんだから、あんまはしゃいじゃダメだよ」


とエラティさんがトラ樽さんを抱きかかえて奥へと連れてっちゃうの。


それもそうね。

トラ樽さんは傷だらけ。

顔を見たコトだし、すにゃおに休ませてあげましょう。


「トラ樽さーん、ゆっくりして、ちゃんとケガを治してねー」


わたしはエラティさんの肩越しに声を掛けて家へ帰る。

すると、リリーちゃんも着いてきた。


「現在、リリーちゃんとファオランさん、何処に住んでるの?」

「ん、ん-ー。

 知らないけど、人が大勢居るところよ」


ファオランさんは護衛団の装備課と言う所で売り娘をしている。

エステルちゃんのはにゃしでは好き勝手に売り場を増やしてるらしい。


リリーちゃんの案内に着いて行くと、そこは知ってる場所だった。

個人の家にしては広い敷地と武術道場ズールハネ

剣を持って練習している男達が多数いる。

ここってばステュティラちゃんの家じゃにゃい。


「ステュティラって誰みゃっけ?

 ああ、あの生意気な人間の小娘ね。

 ここ、アイツの家ニャの?

 ファオランのモノかと思ってた」


そんな事を言ってるリリーちゃん。

武術道場ズールハネ以外にステュティラちゃん達が暮らしてる家が在って。

更に道場の裏には門下生が住みこんでる場所もあるの。


リリーちゃんが入っていくのはステュティラ家ね。

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