第3話 エラティさんの部屋

「アンタ、女王猫?!

 ニャニしに来たのよ?」


と少し敵意のあるマナザシをわたしに向けたのは白い猫。

ファオランさんの家族リリーちゃんだ。


「リリーちゃんこそ。

 にゃんで此処にいるの?」


わたしが返すと、ふんぞり返って返事をした。


「もっちろん、虎タルの看病よ。

 彼がケガしたって言う時はパートニャーのアタシが面倒みるの。

 ジョーシキでしょ」

「やっぱり虎タルさん、ここに居るんだ」


前に聞いた事があった。

エラティさんは猫の扱い方を知ってる。

そんにゃ事を言っていて、ホルムスで街の勝手が分からないリリーちゃんをエラティさんの部屋に連れて行ったの。

だから、隠れ家と聞いた時、もしかしてと思ったんだけど、正解だったみたい。


「みゃーのアネゴ!

 みゃんだってここにアネゴが」


アネゴじゃにゃい、って言ってるのににゃ。

現れたのは虎タルさん。

わたしはアネゴって呼ばれると、彼の顔を爪でひっかくコトに決めてるんだけど。

今日はひっかく訳にはいかにゃい。


にゃぜにゃら、彼の全身は傷だらけ。

背中には噛まれたような傷跡。

顔にも多数の引っかかれた傷があるの。

骨も折れてるのかしら。

前脚を包帯で固めてあるのが痛々しいわ。


「ああ、そうか。

 みゃーちゃん、この子のお見舞いに来たのかな。

 昨日の夜、僕の部屋にやって来たんだ。

 傷だらけだからさ、ビックリしちゃった。

 トーヤーさんにも薬草貰って、手当したんだよ」


そうにゃのね。

ありがとう、エラティさん。

わたしはみゃー、と彼の足に体をこすり付ける。

お礼のつもりよ。


「うん、うん。

 気にしないで。

 僕この大きい子のコトも気に入ってるんだ。

 たまにだけど、ウチに遊びに来るんだよ」



「大丈夫なの、トラ樽さん」


エラティさんに挨拶したわたしはトラ樽さんを気に掛ける。

ボロボロの大きなボス猫。


「気にしみゃいでください。

 今回はしくじりみゃしたぜ」

「アイツら卑怯よ。

 寄ってたかってトラ樽を袋叩きにするにゃんて」


リリーちゃんがプンスカしにゃがら言う。

寄ってたかって?

にゃんだか穏やかじゃにゃいはにゃしだわ。


 

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