第2話 隠れ家

トラ樽さんの住まいだと言う、集合住宅の屋上に行ってみるわたし。

日本で言うマンションみたいにゃものだけど。

建物同士がくっついたりもしていて、複雑にゃ形状。

ホルムスはみにゃと街。

砂の海に向かって下り坂が続くんだけど、そこに建ってるのよ。


屋上は基本人が出入り出来にゃい造り。

だけど、猫のわたしは壁をよじ登って行っちゃうわ。

屋上には他の猫たちもいた。

屋上は日当たりが良くて、昼間は暖かい。

日にゃたぼっこしてるのね。

わたしも寝たくにゃっちゃうわ。


「あっ、みゃーのアネゴだ」

「ああっ、アレがみゃー様」


あにゃたたち、知ってるにゃら教えて。

トラ樽さんの家ってここにゃのかしら。


「へいっ、その辺がトラ樽の旦那のねぐらですみゃ」


指さしてるのは屋上の端っこ。

建物の破片が積み重ねられ、中には布も敷いてある。

これってば、どこかのお宅の洗濯物じゃにゃいの。

洗濯物ドロボーはあまり感心できにゃいわ。


「いいえ、風で飛ばされてきた物ですみゃ。

 夜はそこに潜り込んで寝るんで。

 旦那は寛容ですから、一緒に入っても怒ったりしみゃせん」


でも虎タルさん、帰ってきてにゃいのね。


「昨夜は……どこに行ったんだか。

 旦那はたまに帰って来ないんですみゃ」

「ケガしてるハズみゃから僕らも心配してるんみゃ」

 

「たまに旦那はしばらくここに戻らにゃい事があって、何処かに隠れ家が有るんだと思いみゃす」

「僕らも知らみゃいんだ」


隠れ家?

……もしかして……もしかするわね。


わたしは街の高台の方へ向かう。

すると見えてくる護衛団の本部。

レンガ造りの建物。


その裏に3階建ての少し古い建物があるの。

一階は道場のようににゃってるんだけど、上は団員のための寮ににゃっている。

わたしはその寮に入り込んで、匂いで捜索。


匂いの濃さで分かる。

多分この部屋。


扉が閉まっている。

観察すると、取っ手を回して開けるタイプのドアね。


ダイジョウブかしら。

周囲を見ても誰もいにゃい。

にゃら良いわよね。


わたしはピョーンと猫ジャンプ。

取っ手に乗っかりクルンと回す。

エイっと扉の隙間に爪を立てムリヤリ開けちゃうの。


すると中から人の声がした。


「誰だい?

 あれっ、誰もいない。

 扉が自動的に開くハズ無いのに。

 おや、黒い猫……みゃーちゃんじゃない!」


その声は護衛団1番隊隊長エラティさんのモノだった。

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