黒猫の日々

女王天使猫の日々

第1話 トラ樽さん

わたしはいつものように街を散歩してるわ。

黒猫のわたしが自由交易都市ホルムスの裏通りを歩いてるの。


もう季節は冬にゃんだけど、砂海ニャビールからの照り返しで日中は暖かい。

夜ににゃると凍えるくらい寒くなる。

わたしは冬の日にヘレーナさんとエステルちゃんに拾われた。

と言う事は、わたしそろそろ1歳ににゃるのかしら。


猫の1歳と言ったら……

その昔雑誌かにゃにかで読んだ覚えがある。

猫の1歳はそろそろ成人だって。

だからわたし、もう仔猫じゃ無くて成人猫。

でも、わたしは少し大きくなったけど、まだ他の猫たちに比べれば小柄な部類に入ると思うの。

虎タルさんにゃんて、わたしの倍はあるわ。

虎タルって言うのはホルムスのボス猫。

大きな茶色のトラ縞の猫。

少し太り過ぎだと思う。

余計にゃお世話かもしれにゃいけど、ダイエットした方が良いんじゃにゃいかしら。


そんにゃコト思いにゃがら、路地裏を歩いてるわたし。

するとシャム猫のお姉さんが窓からはにゃしかけて来た。

このお姉さんは……確か逃げ足のグレイさんの恋人さん……恋人でいいのかしら。

全身は白くて顔の真ん中と尻尾に黒い毛の生えた優美にゃシャム猫さん。


「みゃー様、みゃー様。

 お聞きになりみゃしたか?」


にゃんのはにゃしかしら?


「トラ樽の旦那が新参者にコテンパンにやられたそうですよ」


トラ樽さんが?!


「グレイのヤツったら、そのウワサ話を聞いて。

 いきにゃり真っ青になって飛び出して行っちゃったんですの」


グレイさんと言うのは逃げ足のグレイさん。

ボス猫であるトラ樽さんの片腕にゃんて言ってる、副リーダーの猫ね。

背の高い灰色猫。

頭の回転が良くて、この街の話にも通じてる猫にゃんだけど……

少しカワイイ雌猫ちゃんにはすぐ声をかけるちょっぴり困った猫。


そう、灰色猫が真っ青ににゃったの。

どんな色だったのかしら、見たかったわ。


トラ樽さんとグレイさんは良く一緒に居るのを見かけるにゃか良しさんだ。

グレイさんてば、トラ樽さんの敵討ちに行ったのかしら。


「ありがと、トラ樽さんは何処に居るのかしら?」

「それが……行方不明で普段旦那が居る屋上に居ないんですって」

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