第100話時点でのウンチク

「ヘレーナです」

「ライール……でっす。

 ……うぷっ……」


「どうしたの、ライール。

 顔色悪いわよ。

 ……って、このニオイあなたもしかして」

「あーすまんすまん、ヘレーナ。

 昨夜少しな」


「昨日のお酒がこんなに残ってるって事は少しじゃないでしょ!!」

「あははははは

 ……うぷっ……」


「アナタ、航海の間は娯楽も少ないんだし、他の砂船乗りシンドバットとの付き合いも有るでしょう。

 だから呑んだっていい。

 だけど、家ではお酒は呑まないって約束したじゃないの」

「だから、家では吞んでないよ。

 昨日はエスファハーンへ出かけてて、出先でファオランさんの両親に勧められたんだ」


「家に居る時、って意味じゃ無いの。

 エステルと一緒に居る時。

 あの娘の前で酔っぱらったアナタを見せたく無いの!」

「……う……」


「反省した?」

「……ゴメンなさい」


「よろしい、じゃあ説明しましょうか」

「……少しくらいさー……

 だって、ホントに進められたんだよ。

 ジュアンさんなんか俺以上に酔ってたしー……」


「何か言った!」

「イエ! 何も言ってません!」


「じゃあ、今回は地名に関してね」



〇ホルムス

私たちの住む自由交易都市ね。

ペルーニャ帝国に近い立場ではあるけど、属国じゃない。

自治領なの。

私もライールも元々はホルムスの住民じゃ無いわ。

ここで出会って、二人で住む事になったのよ。

エステルも為にも良かったと思ってる。

【ペルシャ湾に面したホルムズ王国の港湾都市。10世紀から17世紀に実在していた。ペルシャ湾とインドや東アフリカを結ぶ交易の拠点。小説ではアクマで名前を借りてるだけで実在のホルムスを書こうとしてる訳じゃありませんので……念のため】



〇エスファハーン

ペルーニャ帝国の大きい都ね。

皇帝は夏の間ここで過ごして、冬はバビロンで過ごすみたい。

私、昔はエスファハーンの近くに住んでたのよ。

【イランの都。古くから交通の拠点であり16世紀末には首都に定められ発展した。ザーヤンデルード川の北を中心に町が形成されている。しつこいようですが、実在のエスファハーンと小説のエスファハーンは別物ですからね】

 


〇大河ザーヤンテ

大きな河よ。

船遊びするカップルなんかもいるんだけど、河の流れはそれなりに早いから慣れて無いと少し危険。

えっ?!

エステルだけで舵を握ったの。

河を遡るのに一人でやらせた~?!!!

ライール、何やってんの!

船事故でも起こしたらどうするのよ!

【ザーヤンデ川はザグロス山脈からから東方へ流れ、エスファハーンの南東にガーブフーニーの沼地に至る。かつては相当の水量があったが、現在ではエスファハーンに到達する前に水が干上がってしまう事もある】



〇ヴォウルカシャ

砂船乗りシンドバットの間で語られる伝説。

一面水だけの海って言うんだけど……なんかスゴイ光景ね。

そんなの想像も出来ない。

水に溺れそうで怖いじゃないの。

【ゾロアスター教における天海。大神アフラ・マズダーによって作られた。その中心には『白いハオマの巨木』もしくは『癒しの木ガオケレナ』があると言う】



「じゃあ、作者がしばらくお休みと言うので、しばしのお別れよ」

「と言っても別の作品を投稿して、毎日投稿は続けるらしいぞ。

 内容はともかく量を書いてるコトは認めて上げてもいいかもな」


「ふーん、じゃあアナタはしばらく私やエステルに逢えなくてもいいのね」

「そんな事は言って無いよ、ヘレーナ」


「ツーン」

「ヘレーナ、また俺はしばらく航海に行っちまう。

 その間だけでも仲良くしようぜ」


「……ライール」

「ヘレーナ、いつ見てもキレイだよ」



「とっとっと。

 そこまでそこまで〜

 もう母さんも父さんもイチャイチャし過ぎ」


「……ライール」

「……ヘレーナ」


「ええっ?!

 お互いしか見えてない。

 エステルの言葉が聞こえてない!」

「みゃみゃみゃ(くじけにゃいで、エステルちゃん。わたしが着いてるわ)」


「ええっとしょうがないのでワタシが締めます。

 しばらくお休みですが、又必ずお逢い出来ますので待っててください。

 作者の予定では第三章は短編集になるそうです。

 仮題は『黒猫の日々』

 ワタシも寂しいですがみゃーと一緒に過ごします」

「みゃー(じゃまたね~)」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る