第14話 尊敬する先輩

わたしはハッキリ言うって決めたの。


「わたしも本が好きなんです。

 だから……たくさん本を読んでるファッティマさんの事好きですし、尊敬してます」


大きい声でハッキリと。

ファッティマさんがガバっと起きてこちらを見つめる。


その後は小声になってしまったけど、言うだけは言わないと。


「それで……そのただですね。

 やはり本はもう少し大切にして欲しいし。

 後、なにかとネガティブな発言をするのもどうかと……」


わたしは言い続けるけど……


ファッティマさんは聞いていない。

その顔がにへらーと笑って。


「トーヤー、聞いた?

 わたしのコト好きだし尊敬してるって!

 嬉しい~。

 後輩にこんなコト言われたのハジメテ~」


「エッ、エステルくん。

 その……好きと言うのは……あの」


なんだかトーヤーさんは慌ててる。

なんで隊長がそんなに慌てるのかしら。


ファッティマさんは立ち上がってわたしの側に来ている。


「分かったわ、エステルちゃん。

 わたしもあなたの事好き~。

 仲良くしましょうね」


今までファッティマさんはいつも俯き加減で目を伏せていた。

それが目を開けて、こちらを見て微笑んでる顔はホントにキレイで。

わたしも嬉しくなってしまった。


そんなわたしたちを見て、トーヤーさんはますます慌てている。


「エステルくん、私の事は?

 私の事は尊敬して無いのかな。

 あの……そのだね……」


珍しく歯切れの悪いトーヤーさん。

何を言いたいのか良く分からないのでわたしは気にしない。


えーと、とりあえず、言いたい事は言った。

これで良かったのよね。

ファッティマさんとは何となく仲良くなれたみたいだし。


フと気づくとわたしの胸元からみゃーが見ている。

ホントにそれでいいの?

そんな雰囲気。


いいのよ。

わたしだって、別に先輩とケンカしたかった訳じゃ無い。

仲良くやっていけるのならそれが一番。


すると、みゃーは。

うん、エステルちゃんが納得してるならそれでいいの。

と言う表情を浮かべた。


猫がそんな顔をするか、と思うかもしれないけど。

でもこのみゃーはホントに時々人間臭い表情を浮かべるの。



こうしてわたしは護衛団の先輩ファッティマさんと仲良くなった。


「エステルくん……

 さっきファッティマに言った……好き……って言葉を私にも言ってくれないかな、なんてだね……」


トーヤーさんは小声でまだ何か言ってたけど。

気にしなくて良いわよね。

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