第10話 子供の頃
みゃーがわたしを見ていて。
そのくるんと丸い目で見られると、なんだかわたしが悪い気がしてきてしまった。
「そうかー、わたし理屈っぽいのかな」
「人によってはそう見えるかもって話よ」
母さんが言いながら笑う。
「くっくっくふふふふ」
「なーに、変な笑い方」
「その困ったちゃんのセンパイの話聞いてたら。
エステルの子供の頃思い出しちゃった」
「…………は?!
なんで?」
「ひっひひひー。
アナタしょっちゅう同級生に陰口叩かれたって。
いじけて一人で本読んでたのよ。
アタシが話しかけても気づかない振りして。
ずっと本に目を向けて固まってたの」
「知らない!
そんな事してない」
「してたもんねー。
アタシは母親として困ったなー、と思いながら眺めてたんだから間違いないわよ」
「…………」
「それがステュティラちゃんと出会ってからかな。
直接ケンカするようになって。
ムカツくー、とか言いながらも元気になっていったわね」
「…………ステュティラちゃんとはね」
良くケンカした。
彼女は直接言ってくるし。
他のわたしの顔をうかがいながら、聞こえるか聞こえないかのような声でブツブツ言ってる他の女の子とは違う。
「覚えてる?
陰でグチグチ言ってる子なんて、ワタシが美人だからやっかんでるのよ、なーんて言ってたのよ」
「言ってない!
言ってないーーー!!」
とは言ったものの……そのセリフは覚えがある。
それはステュティラちゃんに言われた言葉だ。
隠れてグチグチと言う子、それに対してはこちらは何も出来ないじゃない。
卑怯だよ。
そんな事を言っていた私に対して言ってくれた言葉。
あんなの、エステルが美人だからやっかんでるのよ。
あの辺りからステュティラちゃんとわたしは、ケンカしながらも親友になったんだと思う。
黙ってしまったわたしを見て、母さんは楽しそうにしてる。
「……なら、やっぱり
ファッティマさんに直接話す」
「あら~、いいの?
相手は先輩なんでしょ」
「いい!
そう決めたの」
母さんはまだクスクス笑ってたケド、わたしはもう心の中で決めていた。
そんなわたしにみゃーがみゃみゃみゃ、と語り掛ける。
大丈夫、と言う風に微笑みかけてみゃーをわたしは抱きしめた。
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