第8話 なんかちょっと
わたしの住むホルムスは自由交易都市。
住人はこの砂の国出身の人が多いけど、他の国から移り住んだ人も大勢いる。
わたしのお父さんもそう。
わたしの家は街の高台から砂海が見える方角に降りていく。
こっちは石造りの建物が多い。
逆に
なだらかな坂になっているので下にある家だと、その三階あたりが上にある家の一階くらいの高さだったりしておもしろい。
大きな建物に多数の家族が住んでいる、集合住宅も多い。
わたしは一軒家だけど、集合住宅に住んでる人によると部屋の中はほとんど同じ造りなんだそうだ。
どの部屋が誰の家か分からなくなっちゃったりしないのかしら。
寮と言うのもそんな造りなのよね。
男性寮も同じかな。
そう言えばエラティさんも寮に住んでるみたい。
たまにみゃーがおジャマしてるみたいで……お詫びを言っておかないと。
そんな事を考えながら家に入る。
「ただいまー」
「お帰んなさい」
母さんの声とみゃーが、みゃみゃみゃと出迎えてくれる。
わたしは真っ黒い猫を抱き上げる。
男爵なんて名前もいつの間にか着いちゃった、我が家の家族。
わたしに着いてくる事も多い子だけど、今日はお家にいたのね。
まあるい瞳がわたしをみて首をかしげる。
どうしたの、元気ないみたい。
そんな風に言われた気がする。
わたしは荷物を置いて絨毯に座ってみゃーに話しかける。
「元気だよー。
ただ……護衛団の先輩にファッティマさんて変な人がいて疲れちゃった。
みゃーは知らなかったっけ。
図書館は猫禁制だから入れなかったもの、知らないよね。
ホント困った人なんだよ」
キッチンで何かしていた母さんが寄ってくる。
「あら、ふふふーん。
エステルが職場の先輩の悪口なんて珍しい。
何があったの。
言ってみなさい」
「悪口なんて、そんなんじゃ無いよ~。
ただ……」
あのファッティマさんの言動が少しイヤなの。
ワガママだし、変に子供っぽいし。
そのクセ自分は美人だって言うし、図々しいし。
なのに自分はダメダメってイチイチいじけて見せる。
なんかちょっと……
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