第80話 アジ・ダハーカ
「我が名はアジ・ダハーカ。
太古に封印されし龍です!」
少年が目をギラつかせにゃがら宣言して。
「アジ・ダハーカだと?!
馬鹿な……
それは古代の国、メソポタミアの住人の三分の一までを喰らいつくしたと言われる大悪魔の名ではないか!」
と、イルファン隊長は驚くの。
はーー、イルファンさん、良く知ってるわね。
男の人って、意外とそういうの好きよね。
悪魔とか怪獣とか、そういうオッソロシイののにゃ前覚えたりするの。
わたしはあんまり興味にゃいわ。
嫌にゃコトとか恐ろしいコトとか現実に一杯あるんだから、わざわざそんにゃコワイ物のにゃ前調べたり、覚えにゃくていいじゃにゃい。
にゃんて言ってたかしら。
日本の平成の頃はそーゆーの、中二病とか呼んでいた気がする。
アズダハーグ皇子が言ってるのもそんにゃタダの妄想で在ってくれればいいんだけど。
残念にゃがら皇子の両肩からは鎌首を持ち上げる存在が見えている。
皇子の頭部にすら頭の上に角のようにゃモノ。
はにゃや口元が前に迫り出しているように感じられてくる。
角と牙を生やし威厳を持つ、蛇に似た生き物。
竜ね。
皇子の両肩には竜の首が生え、皇子自身も竜のようにゃお顔ににゃってる。
三つ首の竜。
にゃんだか、アレを思い出しちゃうの。
昭和に大ヒットした放射能怪獣映画。
そのライバル怪獣に金色に光る三本アタマの竜に似たカイジュウを見た覚えがあるわ。
「……何故、皇子が……
アズダハーグ皇子が実はアジ・ダハーカが化けていた少年だったと言う事なのか」
「フッフフフフ。
それは違いますね。
この体の父親は。
邪神ネルガルと取引したのです。
ネルガルめはアジ・ダハーカを目覚めさせるための生贄を寄越せと要求しました。
そして差し出されたのがこの少年と言う訳ですよ」
「なんと…………
巷で流れていたウワサはまんざら作り話でも無かったのだな」
イルファンさんとアズダハーグ皇子はマジメな調子ではにゃしてるけど。
わたしはあまり聞いていにゃい。
わたし河原を散歩して、パピルザク相手に大活躍して、さらには護衛の人を助けるため必死に頑張った。
もう疲れて来ちゃったの。
そろそろ眠りたいわ。
アジ・ダハーカさんとやらもいいじゃにゃい。
ずーっと眠ってきたのにゃら、もうひと眠りしちゃえば。
寝るの、気持ちが良いわよ。
だけど、そんにゃわたしの猫のおミミが震える。
にゃにかの音が聞こえるの。
近付いて来る轟音よ。
空気も振動してる。
大きな質量の物がにゃがれてくる!
「なんだ?
変な音がする……」
「これは……
河ですね、その河の上流から大量の水が流れて来る音だと思いますよ」
「なんだと、ザーヤンテ河が。
大変ではないか、ここいら一帯全て流されてしまうぞ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます