第68話 猫タイフーン

「こりゃ一体どうなってるんだ?!」

「……パピルザクどもが……ドンドン倒れていく……」


「ははははは。

 笑わないで聞いてくれ。

 オレ……オレ、まるで黒猫が魔物ダェーヴァをなぎ倒してるように見えてるぜ」

「そうか……奇遇だな。

 俺にもそんな風に見えてる」



男の人たちがこっちを見て呆然としている。

そんにゃヘンなモノを見るようにゃ顔しにゃくてもいいじゃにゃい。

一応、助けてあげてるのよ。


わたしはパピルザクを猫パンチでぶっ飛ばすけど。

サソリの魔物ダェーヴァはまだまだ現れる。


いやーーん。

サソリってキモチワルイわよね。

黒光りする外見。

細長い手足がワキワキ動いてるのもイヤだわ。


そんにゃのがたくさん、わたしに近付いて来て。

もうイヤ!

手近な魔物ダェーヴァから全部蹴り飛ばしちゃうわ。


うう。

コイツラの顔ってどうにゃってるの。

黒っぽい甲羅のようにゃ頭部。

まるっぽい目のようにゃモノも着いてると言えば着いてる。


別に観察したいワケじゃにゃいのよ。

でもコイツラ大きいしみんなして寄ってくるから、イヤでも目に入っちゃう。


わたしは大暴れ。

サソリを掴まえては振り回すの。

パピルサグ同士が激突。

ドンドン破壊されてくサソリの魔物。



「アズダハーグ様、一体どうされたんです?」


一人の戦士が皇子の横にしゃがみ込む。

アズダハーグと呼ばれた少年は地面に座り込んで、自分の肩を抑えてるの。


「うっ……ああああああああ。

 肩が……僕の中で……」

「肩をケガされたのですか?」


「よせやい。

 皇子の警護はチャンとしたぞ。

 一度の攻撃も受けて無い」

「……と言っても苦しんでるでは無いか」


「ふーむ……

 アッチじゃないか」


戦士はわたしとパピルザクの争ってる姿を指さすの。


「あんなん見ちまったら、自分がおかしくなってるんじゃないかと疑いたくもなるだろ。

 俺も自分が信じられねぇ」


戦士の人は自分のアタマを自分で叩いてる。


にゃによ。

失礼ね。


と、耳だけでわたしはそんなやり取りを聞いてるの。

身体の方はモチロン魔物ダェーヴァたちと戦ってるのよ。


猫パーンチ!

猫キーック!

そして猫タイフーン!


タイフーンてのはアレよ。

パピルザクの尻尾を掴まえて振り回すの。

わたしを中心にサソリの魔物ダェーヴァが回転して、周りのパピルザクをぶっ飛ばすの。

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