第67話 猫侍
みゃみゃみゃーーん。
アナタたち、アブにゃいわよ。
少し隠れてにゃさい。
そんにゃニュアンスを込めた声を上げてわたしは三人に近づく。
「うわっ?!
暗闇に目が浮いてやがる」
「ビビルな!
よく見ろ、猫の瞳だ」
「なんだ、黒猫かよ」
「アズダハーグ様。
大丈夫です。
タダの猫ですよ。
…………アズダハーグ様?」
皇子と呼ばれていた少年が肩を抑えて悶えているの。
その目がわたしの方に向けられて、にゃにか信じられにゃいモノでも見るようにゃ怯えた顔。
にゃーに?
わたし、あにゃたににゃにかしたかしら。
むしろ少年を護ってあげるつもりで出て来たのよ。
わたしは少年ではにゃくて河の奥の暗闇を見つめる。
男たちが逃げて来た方角よ。
わたしのオヒゲのセンサーが反応してるの。
わたしの細い尻尾も膨らんで逆立っている。
もう耳だって捉えているのよ。
ザクザクと河原の石を踏みつける大量の足音。
そこに現れたのは黒い甲殻の皮膚、尖った尻尾を凶器のように持ち上げた
パピルザクの群れだった。
「……!……」
「コイツラ、こんなトコまで追ってきやがったのか!」
「皇子、逃げます!
…………皇子?」
少年はうずくまったまま、自分の肩を抑えて悶えているの。
「あ……あああああ……僕の肩が……」
皇子様はにゃにやらタイヘンそうだけど。
わたしにはかまってる余裕がにゃいわ。
そっちは護衛の兵士たちにお任せするしかにゃい。
だって、わたしの目の前にはサソリの
【
【攻撃力強化】
【右腕強化】
【左腕強化】
【右足強化】
【左足強化】
【スキル発動】
【空中ジャンプ】
わたしはぴょぴょーん、と飛び出す。
一体のパピルザクに飛び乗って、わたしを狙う尻尾を摑まえる。
そのまま尻尾ごとパピルザクをエイヤっと背負いにゃげ。
後ろにいたパピルザクに叩きつけるの。
甲と甲がぶつかって固い皮膚が潰れるわ。
それでもひるまにゃいで、わたしを襲ってくるパピルザク。
サソリの
見てるのは知らにゃい人たちだけ。
気にしにゃくていーわ。
猫侍の力、見せてあげるんだから。
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