第59話 銀色の光

泉の方向へ進んでいくわたし。

入り口からの中間地点くらいかしら。

広場のような空間が有るの。


護衛団の人たちが集まっている。

休憩かしらと思ったけど。

それどころじゃにゃさそうね。


聞こえる金属音と叫び声。


「出た!」

「アンズーだ!!」


「クソッ、四体もいるじゃないか」

「弓兵はどうした?!」


戦士達もさすがに慌ててるみたいね。

相手はアンズー。

獅子の頭部をした大鷲の魔物ダェーヴァ

羽を広げると人間のサイズを遥かに超える。

その爪は大きく鋭い。


上空から滑空して、爪で一撃を加え去って行く大柄な魔物ダェーヴァ

簡単には護衛団も仕留められにゃいわ。


手伝おうかしら。

わたしは近くの手頃そうにゃ木をさがす。

木を引っこ抜いて矢としてぶんにゃげるの。


どうかしら。

木が下に落っこちちゃったら、護衛団の人たちも危険かしら。

にゃんてコトを思いにゃがら様子を見ていたわたし。


弓矢が撃たれて、アンズーに突き刺さるけど。

2メートルを超えるようなバケモノ鷲。

簡単にはくたばらにゃい。


「チクショウ、しぶといぜ」

「ダメだ、また新手が来やがった!」


見るとまた、2体のアンズーが羽ばたいてこちらにやって来る。


やっぱり森林破壊だけれど、やっちゃおうかしら。

と。

思った瞬間。


にゃにかが、新手のアンズーの前に跳んで行く。

宙を走る銀色の光。


刃物。

刀で宙を切った残光。


一体のアンズーの頭部が落ちていく。

頭部を一瞬で失ったアンズーはまだ翼が動いていて、フラフラと宙を飛んでいたけれど。

ゆっくりと地上へと落ちて行った。


刀を振るった人影はもう大地に降り立っていたけれど。

もう一体のアンズー目掛けて、再度ジャンプする。


ウソみたい。

どう見ても人間の身長を超える高さをヒトッ跳び。

高跳びでオリンピック選手を超えるんじゃにゃいかしら。

しかも、そのまま刀を振るにゃんて。


人影から刃が放たれる。

空間を薙ぎ払う、銀色の光。


今度は獅子の頭部を横に切り裂いた。


「あ、浅かったかな」



WOWOWOWWO!!


太い叫び声を上げ、アンズーが落ちていく。

顔が斬られ、血が吹き出しているのだけど。

まだ暴れる。

慌てた様に翼をバタバタ、近くにいた戦士に爪を突き立てる。


上空から先程の人影が降りて来る。

空中で一回転、バランスを取って、そのまま下へ。

片刃の剣で暴れるアンズーの胴体を叩き切る。


「ふう」


そう言って、刀の血を振り払ってるのは。

浅黒い肌に黒い髪、整った眉の下には柔らかい眼差し。

美少年、エラティ隊長だった。

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