第16話 新春祭《ノウルーズ》

「ルドラの力を呼び出していると、身体の周りに風が吹きますから。

 ひょっとしてその影響なのかも」


エステルちゃんが喋りにゃがらもヴァウーザカの身体に槍を突き刺す。


「フーン……」


「エステルくんは12歳だったね。

 今年の新春祭ノウルーズで加護を受けたのか」


「はい、そうです」


にゃんだかエステルちゃんがあまり楽しくにゃい顔をしてるわ。

触れられたくにゃい事を訊かれた、そんにゃ表情。


ノウルーズと言うのは新年のお祭りね。

わたしはヘレーナさんに拾われてまだ間もにゃい頃。

やっと表に出れるようににゃった時期ね。

このペルーニャでは暦の新年が春に来るの。

『昼と夜の長さが同じになる日』そうヘレーナさんは言ってたわ。

だから春分の日にゃのかしら。

その日が新年の一日目ににゃる。

それから数日間が新年のお祭り。

新春祭、ノウルーズにゃの。


いろんな儀式や習慣が有るんだって。

広場では聖火が燃え上がるわ。

人びとは使い古した服や身の回りの物を火にくべる。

古い物を浄化の火で焼いてしまうんだって。

ヘレーナさんは燃やした灰を持ち帰って、家の四辻に振り撒いてたわ。

家族が一年無病息災でいられるようにって言うオマジナイなのね。


その年に12歳ににゃる子供たちは街を一周するの。

街には大神を始め、多数の神様の神殿が有る。

その全てを回って歩くのね。

すると子供が神様から加護を受けるらしいわ。


わたしにゃんて生後数ヶ月だった筈だけど、でも神様に出会っちゃったわ。

「にゃぁっはっは。にゃっはっはっはー。

 みんニャ大好きバステトちゃんニャのよー」

あの騒がしい神様の事を考えると、それだけで頭がおかしくにゃってくるわ。

今は思い出さにゃい様にしましょう。


それよりもわたしの視界に出てるの。


【危機感知】

【危機感知】


ステータス画面に危ない信号が出てるわ。

どこっ?!

わたしは左右を見回すけど、何処にも魔物ダェーヴァはいにゃい。


「危ないっ!」


エステルちゃんがトーヤーさんを突き飛ばす。


しまった!

上ね。


トーヤーさんの後ろ上空から飛行する魔物ダェーヴァが襲ってきた。

鳥の姿をした魔物ダェーヴァの爪がトーヤーさんを狙う。


それに気づいたエステルちゃん。

トーヤーさんを突き飛ばして爪から逃れさせるけど。

自分が爪を受けちゃってる!

エステルちゃんの服が切り裂かれて、背中から血が!!

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