第14話 トーヤー

卑怯にゃ蜂の魔物ダェーヴァ、ヴァウーザカがエステルちゃんを襲う。


一体はエステルちゃんが風の魔法『ピナーカ』で倒したわ。

さっすがー、エステルちゃんカッコイイわー。

サイコー、エステルちゃん。

カワイー、エステルちゃん。

なんて素敵にゃのー。


そしてもう一体はわたしがにゃんとかした。

わたしだって猫侍だもの。

蜂にゃんかに負けてられにゃいわ。

だけど、もう一体。

もう一体のヴァウーザカがエステルちゃんに迫る。


やめて!

その針には毒が有るのよ。

エステルちゃんが心臓マヒ起こすにゃんて、あっちゃいけない事よ。


エステルちゃんは盾で身を護ろうとするけど。

間に合わにゃい!


と。

わたしが思った瞬間。

ヴァウーザカの胴体ににゃにかが突き刺さる。

その衝撃でハチのダェーヴァは少し飛ばされる。

フラつくヴァウーザカ。

胴体に更に飛翔した物が刺さる。

あれは矢だわ。

小型の矢。

数本の矢が直撃したハチのダェーヴァは地面へ転がり落ちる。


撃ったのは?

わたしの目の先にはマントを被った人。

マントから腕を突き出し、その腕に弓が装着されているの。

クロウスボウとかボウガンと呼ぶんだったかしら。

護衛団の試験官のお婆ちゃん?!

にゃにかおかしいわ。

わたしは違和感を覚える。

理由はすぐ分かったの。

さっきまで腰の曲がっていた筈の老婦人。

現在はスックと立ってる。

腕に装着した小型の弓を構え颯爽としたスタイル。

あの腕!

マントから出した腕は素肌が見えてる。

そこにはシワがにゃいの。

ピンと伸ばした腕。

鍛えてる事が分かる腕。

筋肉ムキムキにゃんて風情じゃ無いけれど。

細身でしなやかな腕、無駄な贅肉がにゃいのが見て取れるわ。

この人、もしかして。


「お婆ちゃんっ?!」


エステルちゃんも驚いて見てるの。


「フッ……

 すまない。

 驚かせてしまったようだな」


お婆ちゃんが答えるけれど。

その声もさっきまでのしわがれた声じゃにゃいの。

少し低めではあるけれど、間違いにゃく若い女性の声。


女性が顔を布で拭いてる。

やっぱり。

メイクだったね。

シワクチャに書かれたメイクが落とされると。

中から現れたのは、凛々しい若い女性の顔だった。


「私の名はトーヤー。

 護衛団、四番隊の隊長をしている」

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