第13話 ヴァウーザカ

「お嬢ちゃん、危ない!

 ヴァウーザカよ!」


お婆ちゃんが言う。

慌てているのかしら。

さっきまでより、大きくてハリの有る声。


エステルちゃんに迫るダエーヴァ。

ハチ。

雀蜂にゃんてもんじゃにゃいわ。

小柄な成人男性くらいはあるんじゃにゃいの。

エステルちゃんはまだ12歳の美少女。

だからエステルちゃんよりおっきいの。


デッカイ蜂ヴァウーザカは羽音を立ててる。

にゃんで蜂の羽音ってあんにゃに怖いのかしら。

わぁんわぁんと威嚇的な音。

聞いただけで足が竦んじゃいそうににゃるわ。


でも竦んでいる訳にいかにゃい。

わたしは足元の小石を蹴りつける。

ヒュッと飛んでく、それ。

ヴァウーザカの頭部に軽くヒット。

エステルちゃんから見たら、彼女に向かって真っすぐ飛んで来たダエーヴァがいきなり方向転換した、そんにゃ風かしら。


でもハチのダエーヴァはまだ落ちてはいにゃい。

軽い小石だもの。

わたしだって大きにゃダメージはあたえられにゃい。

エステルちゃんの周りを飛んでいる。


「マズイ。

 ヴァウーザカの針には毒がある。

 刺されれば動けなくなるし、下手したら心臓マヒを起こすぞ」


お婆ちゃん、さすが護衛団の老人。

お年を召してるだけあって物知りだわ。


にゃんですって?!

カンシンしてる場合じゃにゃい。

エステルちゃんが心臓マヒ?!

そんにゃの許せるハズにゃいじゃにゃい。



「お嬢ちゃん気を付けろ。

 針に毒がある、絶対刺されるな」


お婆ちゃんが老人に似合わない鋭い声で言うけれど。

エステルちゃんは聞こえてない。


「ルドラ・シヴァーヤよ。

 三つの顔を持つ気高き王よ。

 我に貴方様の御力を貸し給え」


『ピナーカ』


風が鋭い音を立てる。


だけど、ダメ。

わたしは気付いてる。

羽音は一体だけじゃにゃい。


もう二体エステルちゃんの後ろから近づく!


にゃによ。

一対三じゃにゃいの。

許さにゃいわよ。



わたしはまた小石を蹴り飛ばす。

絶対狙いは外さない。


【スキル発動:投擲】

【スキル発動:必中】

【スキル発動:攻撃力強化】


どんどん目の前に現れる文字たち。

邪魔よ、ちょっとどいてどいて。


一体のハチのダェーヴァは小石で落としたわ。

今回は強化してるもの。

一撃でトドメを刺すまでは行かにゃくとも、ぶっ飛ばされてる。

地面に落っこちてピクピクしてるわ。


エステルちゃんの正面から来たヴァウーザカには風の魔法がクリーンヒット。

『ピナーカ』を受けてダェーヴァは落ちていくわ。


でももう一体いるの。

危にゃいっ!

エステルちゃん!

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