第7話 男爵と言う名の乙女
「もしかして男爵じゃないの?」
ステュティラちゃんが言う。
うーん。
男爵ってにゃ前どうにゃのかしら。
この娘が勝手に呼んでるんだけど。
いつの間にか広まっちゃった。
どうかするとエステルちゃんやヘレーナさんまで呼んでる。
わたしはみゃーってにゃ前も気に入ってるんだけどにゃ。
それに男爵ってオトコみたいじゃにゃい。
わたし乙女にゃのよ。
まー正確に言うと男爵は爵位。
階級の呼び名。
だから男とは限らない。
女の男爵もいるのだけど。
でもにゃー。
男か、それともおイモのにゃ前みたいじゃにゃいの。
「男爵?」
男の子が訊いてる。
アルミラージに倒されてた護衛の男の子。
「へー、キレイな黒猫だな」
「でしょ、気品あるでしょ。
だから男爵よ、アレシュ」
ステュティラちゃんが男の子に説明してる。
ふーん。
彼はアレシュってにゃ前らしい。
「お前なー、俺は年上の試験官だぞ。
呼び捨てにすんなよ」
「なによ、ウチの父さんの弟子のくせに」
あー、ステュティラちゃんのお父さんは武術や剣の先生だ。
その生徒さんにゃんだ。
だから親しそうにゃのね。
「……ステュティラの猫なのか?」
「……違うわよ。
エステルちゃんの家の子よ」
「エステルの?!」
エステルちゃんのにゃ前を聞いた男の子はにゃんだか頬を赤らめてる。
「そうか……
道理で奇麗だな」
何こいつ。
エステルちゃんに気が有るのかしら。
エステルちゃん可愛いから無理もにゃいけど。
こんにゃウサギの
オススメ出来にゃいわ。
みゃー、みゃー、みゃみゃー。
わたしはうるさく鳴いてみせる。
「もしかして、エステルちゃんを探しに来たの?
でもダメよ。
今日は護衛団の入団試験なのよ。
アルミラージを倒して、その角を持ってくの。
アタシはもうこれでオッケー。
エステルちゃんは十分位前に森の奥へ行ったわ。
今頃頑張ってるハズ。
男爵はジャマしちゃダメなのよ」
ありがとにゃん。
わたしは情報を聞いたらサッサとその場をはにゃれる。
「何処に行くのよー?!」
ステュティラちゃんは追って来ようとするけど。
ネコを捕まえようにゃんて人間には無理ムリ。
わたしは横の草むらに隠れて走り去る。
エステルちゃんを探さにゃいと。
森の奥ね。
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