第4話 砂の海

数ヶ月が経ってわたしは家の外にお散歩できるようににゃった。

この街はホルムスというにゃの港街。

そんな話はヘレーナさんやエステルちゃんの会話で聞いていて。

だから表に出れば、真っ青な海が見える、そう思っていたのだけど。

わたしの予想は覆される。


そこに広がっていたのは一面の砂。

砂漠?

いいえ、砂海ニャビール


そう言えば、砂漠の事を海のようにゃんて言うのよね。

本当に船が渡っていく砂の海だにゃんて。

知らにゃかったわ。

てっきり比喩的表現だと思っていたの。

年寄りにゃのに物を知らにゃくて恥ずかしいわ。

わたし、海外には疎いのよ。

海外旅行にもハワイくらいしか行った事にゃいのよね。


砂の海を渡っていく船、砂船。

ニャビールジャーエヒ、ニャビールカシュティ、ニャビールカルヴァーン。

ニャビールが砂の海のこと。

ジャーエヒが小型の船、ボートね。

カシュティは大型の船。

大型の船が幾つも集まって商隊カルヴァーンににゃるの。

船に乗る水夫、船乗りたちの事を『シンドバット』と呼んだりもする。

にゃんだか聞いたようにゃにゃ前だわ。


黄色い砂の海を白い帆をいっぱいに広げた砂船が渡っていく。

ステキな光景にゃの。


ヘレーナさんの旦那さん、ライールさんはこのカルヴァーンの一員。

水夫長らしいわ。

2,3ヶ月家を留守にする事もザラ。

そして一ヶ月くらいお休みで家に滞在するの。

船旅がよっぽど大変だったのかしら。

家に帰って来るとダラーっとしてにゃんにもしにゃい。

ヘレーナさんとイチャイチャしてるだけ。

見てて羨ましい、じゃにゃくて恥ずかしくにゃってくるわ。

くっつき過ぎよ。

エステルちゃんの教育にも悪いじゃにゃい。


でもエステルちゃんはこのお父さんが大好き。

以前はお父さんとおにゃじ「砂船乗シンドバットりになる」と言っていたのだけれど。

どういう心境の変化か。

12歳ににゃって街を護る護衛団に入ると言い出したの。


街の裏道を抜けて行くわたし。

外壁に到着。


街の外から現れる魔物たちから街を守る壁。

人間の背より高く張り巡らされていて。

人間は正門からしか通れにゃいのだけど。

わたしは勿論、壁を駆け登るんだにゃん。


真っ白な石で出来た壁。

人間からみたらまっ平らな壁にゃんだろうけど。

猫のわたしから見れば、手がかり足がかりだらけ。

そんな突起に爪を立て、壁をよじ登っていくわたし。

華麗にゃ猫にゃんだにゃん。


壁の上にスックと立つ。

下の方には砂の海が見える。

太陽の光を受けてキラキラしてる。

砂粒の中に混じってる石英とかにゃのかしら。

見にゃれるとキレイにゃ光景。


いけにゃい。

見惚れてる場合じゃにゃかった。

エステルちゃんを追わにゃいと。


壁を乗り越え、森の方へ向かうわたし。

確かこの辺が護衛団試験の集合場所だったと思うのだけど。

そこにはもうエステルちゃんはいにゃい。


護衛団の人達。

入団試験の監督にゃのかしら。

立派な体格の男が多い。


ゆったりした布の服で全身を覆う。

頭には赤い布を巻き付けてる。ターバンね。

ターバンの色は真っ赤な赤、戦士の色。

鉄冠を布の上からかぶってる人もいる。

揃いの盾と槍。

護衛団の基本武装にゃのね。


この人達はどうでもいいわ。

エステルちゃんはどこにゃのかしら。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る