第3話 輪廻転生

気が付いたらわたしは表で寝ていた。

身体が寒いの。

どこかに毛布でもにゃいかしら。

周囲を見回そうとするけど上手く体が動かにゃい。

目もちゃんと開かにゃい。


ぼんやりした視界の中に人がいる。

二人の人影。

奇麗にゃ女の人と少女。


「まだちっちゃい」

「そうね、多分まだ産まれてすぐよ」


「お母さん猫は?」

「近くにはいなわ」


「このまま放っておいたら死んじゃうの」

「そうね、冬だし夜は冷えるわ」


「お母さん、連れ帰ってあげたい」

「エステル、あなたちゃんと仔猫の世話できる?」


「大丈夫。やる。頑張る」

「……しょうがないわね。

 このままじゃ本当に死んじゃうわ」


そして。

奇麗にゃ女の人がわたしを抱き上げた。

優しくふんわりと。

女の人の胸のにゃか。

温かい。

安心する。


「みゃー」


わたしはありがとうと言ったつもり。

でも喉から出た音はみゃーだった。


その女の人がヘレーナさん。

わたしの飼い主さんだ。

一緒にいた少女がエステル。

ヘレーナの娘さん。


わたしは毛布にくるまれて安心。

みゃーと鳴く。

ヘレーナさんが布に温めたミルクを沁み込ませて差し出してくれる。

布に吸い付いてみゃみゃんとにゃめとるわたし。


わたし赤んぼににゃっちゃったみたい。

少し前までお婆ちゃんだった筈にゃんだけどにゃ。


わたしは歩く事もできにゃかった。

出来るのはみゃーと鳴く事とミルクの染みた布に吸い付く事。


おトイレ行けにゃいのが困る。

ヘレーナさんが拭いてくれるのだけど


わたしは粗相しそうににゃったら、みゃーとヘレーナさんを呼ぶ。


「みゃーは賢い良い仔ね。

 呼んでくれるからお片付けするのが簡単でいいわ」


えっへん。

いや違う、威張ってる場合じゃにゃい。

トイレの後片付けさせてゴメンにゃさい。

この御恩は忘れにゃいわ。


二週間くらい経ってやっと歩けるようににゃったわたし。

鏡を見つける。

にゃんと。

そこに映っていたのは猫だった。

ちっちゃい真っ黒い仔猫。


生まれ変わりって本当に有るんだ。

仏教では輪廻転生って言うのよね。

若い人の言葉だと異世界転生って言うらしいわ。

輪廻転生とは少し意味が違うのかしら。

多分同じよね。

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