第15話 初めての言葉は『ママ』がいい
最近子供達とのスキンシップを覚えた。子供達も撫でてもらえるのが嬉しいのか、俺との距離が近くなった。
クークは俺の身体の何処かに巻き付いているのが、気に入ったみたいだ。首か腕にいる事が多い。
リリッドとクリッタはブラッシングがお気に召したようでブラシを見るとすごい勢いでやってくる。
チュダはヒラヒラしたものに目がない。猫(虎だが)じゃらしが大好きだ。
トゥンは変わらず俺の足元にいる。
ちょっと驚きなのが蜘蛛三兄弟だ。どうやら撫でてもらえるのにハマったのかしょっちゅう撫でろと要求してくる。しまいには俺の肩や頭に乗って催促してきた。頭や肩から降ろしても満足するまでまた乗ってくるのだ。
おかげで頭の上と肩に常時蜘蛛三兄弟がいて、そこにクークが被ると場所取り合戦が勃発する。顔面近くで喧嘩もされるからたまったものではない。
どうやら前の世界では経験出来なかったモテ期が今きているらしい。獣と蟲相手だが。ちなみに『聖獣』候補は蜘蛛の場合は『聖蟲』候補になるらしい。
◆◆◆
幼稚園の子供達が慣れてきたところで、学校開校の準備が本格的になってきた。
精霊人も忙しく動き回っている。中でもダンさんは張り切っている。俺がチラッと話した制服がダンさんのファッション魂を刺激したらしい。体操着も含めて張り切ってデザインして製作している。
制服も体操着も出来上がり次第保護者に届けられ入学式にお披露目される。楽しみだ。
ふと顔の横でシシルが俺の髪を前足で器用にイジっていた。蜘蛛三兄弟は名札で見分けていたが最近は行動を見て見分けがつくようになった。シシルは細かい作業が得意のようだ。
シシルにあやとりを教えてみる。するとなんと前足だけでなく身体の真ん中や後ろ足も器用に使ってあやとりを始めた。これはすごい。
「すげぇ! すごいぞシシル!」
俺はシシルを両手にもって掲げ、アニメのライオンの子供のように精霊人に見せびらかした。鳥精霊人のピロさんはしっかり今の場面を撮影していたようで一緒に喜んでくれた。
「ス、スゥ、スゲェー」
足元から見知らぬ声が聞こえてきた。
「ス、スゲェー」
メェとしか泣けなかったトゥンがしゃべった! 喋ったどぉーー!!
「トゥンお前! しゃべったよね?! すげぇ! 今の撮った?」
「バッチリ撮ったピィ!」
俺の興奮は最高潮だ!欲を言えば初めての言葉は『ママ』がよかったが。
「マ、マ……マ……」
さらに俺の横から見知らぬ声が!声を出しているのはポポルだ!初めての言葉はやっぱり『ママ』だよな。うんうん。
「マ、マジカァー」
あれ? マジかぁ? ってマジかよ!
「ポポル……マジかよ! ちょっとすごいぞ! うちの子すごいぞ!」
やっぱり『ママ』じゃなかったけど。しかもどう聞いても俺の真似だよね?
「マ、マジカァー」
「スゲェー」
もうちょっと普段から品良く話すべきだったよなぁ。保護者会に何か言われないかなぁ。今から反応がコワイ。
でも今夜はお祝いをしなければ!シノさんにご馳走を頼もう。
俺はスキップして小躍りして、躓いた。
み、見ないでくれ〜。
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