異世界『聖』教育
久宝 天
第1話 『聖』と『星』
ある世界の神達は途方にくれていた。
「また、『星』が墜ちた」
「もう『聖』を冠する者どころか、『星』を持つ者さえいなくなってしまう」
「このままではまずい……」
神々は考えた。
ある神は言った。
「いっそ『聖』を冠する者になりそうな候補を探して幼いうちから教育して育てていけばいいのでは?」
違う神が言った。
「誰が育てるのだ?」
「『聖』を冠する者を育てられるのは、『聖』を冠する者だけだ」
「『聖』を冠する者はもうこの世界にはいないぞ」
ある神はさらに言った。
「この世界にいないなら、他の世界から呼んでくればいい……」
◆◆◆
「ハッ、クシュン!」
チョークの粉が鼻に入ったかな?鼻を啜りながら生徒に声を掛ける。
「次は田中君読んで下さい」
「はい」
田中君の読んでいる所を確認しながら、次にやるべきことを考える。教員免許取り立ての頃はいちいちテンパっていたが今ではだいぶ慣れた。
「はい、そこまででいいよ。次は吉田さん読んで下さい」
「はい!」
俺が受け持っているのは都内の小学校の二年三組だ。元気がいい子が沢山いて授業が終わる少し前はそわそわと落ち着きがなくなる。終了の鐘がなる頃は一斉に立ち上がりそうだ。
終了の鐘が鳴って子供達が席からそれぞれ立ち上がると俺も忙しく動く。
職員室に一度戻って次の授業の準備をしなければならない。
大急ぎで職員室に向かい、扉に手を掛けて中に入るとなぜか、水の中に落ちた。
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