第113話 聖女のノリ
「そして、君達は、聖女だ。だから、オレと共にずっと居て欲しい!」
「えっ?!それはつまり・・・・」
「それって、そういうこと・・・・」
二人は顔を赤くしたのだった。
「うん?そうだ、君達は聖女なんだ!そんなに恥ずかしがることではないと思う」
いや、恥ずかしいことかな?
なぜ聖女なのかって知ったら・・・・。
えっと、いやそこは、こっちが恥ずかしいじゃないか?
あれ?
ってことは、4人居るとか言ったら、こいつ等、ヒクよな。
あれ?
全部話すつもりが、どうしたらいい?
『キィ、どうするよ?ヤバくね?』
『君は、勇者だろ?そして、彼女達は聖女だ。君の言う事は、彼女達なりに受けとめてくれるよ』
『そうか?そういうモノなのか?』
『大丈夫さ。彼女達と君は、もう魂の繋がりが出来ているからね。先代の時も、聖女達は選ばれて喜んでいたからね。それに二人だと戦うのに不安だろ?4人も居るから頑張れるって思うんじゃないかな?』
『でも、彼女達が戦うとか、オレもどういうことかわからないのに、どう説明するんだ?』
『なんだ、そんな事か。勇者は、そんなチマチマした事を考えなくてもいいんだよ。聖女達は、とりあえず、まだ戦う必要がないからね』
『うん?それはどういうことだ?』
『それは、まだ言えない。それに、聖女については管轄外だからね』
『だったら、誰の管轄なんだよ?』
『それは知らない。というか、まだわからないって言うのが正しいのかな』
『なんだよ、それ!くそっ!余計にわからんわ!』
これらのキィとの会話は、超速で行った。
そして、思考も超速思考だ。
さっきのトイレの時のようなヘマはしない。
ただ、まだ勇者になり立てなので、こうして実践する経験が少なく、少し、エネルギーというのか、チカラを消耗した感じがする。
勇者のスキル、まだまだ練習しないと・・むっ、いや今はそれどころじゃねーぞ!
「えっと、カズト、私は構わないわ。一緒に住んでも」(早乙女)
「えっ!私も、構わないわよ。カズくんがそんなに私と一緒に居たいんだったら、今晩、一緒に寝ても」(ユミ)
「えっ!私も、一緒に寝てもいいかな?そ、その、クマちゃん持って来てもいい?」(早乙女)
「えっ!私も、うさちゃんを持って行ってもいいかな?」(ユミ)
「待てーーーい!!クマちゃんとか、うさちゃんとか、お前等のそれはぬいぐるみか、抱き枕か?いや、そんな事はいい!お前等、勝手に寝に来るなよな!オレは、そんなにヒマじゃねーんだ。オレは勇者の修行があるから、夜は寝てないんだよ!早朝に2,3時間寝るとか、修行が長くなると寝ないとかもあるし」
「えっ?そういう設定?」(早乙女)
「そうなんだ。だったら、聖女として、何か出来る事はないの?」(ユミ)
『おい、キィ!こういう話をオレはするつもりだったのか?』
『知らないよ。でも、聖女としての自覚が出てきた証拠だよね』
むむむ、そうなのか?
「よし、わかった。お前等の気持ちは、よくわかったから。そして、聖女とか、とりあえずは何も特別にする仕事とかはない。だから、いつも通りの君達で居てほしい」
なぜか、君達って言うしかなくね?
ちょっと、お願いって感じだから。
「うふふふ、わかりました。聖女カオリン、
「!!そうですね。まあ、カズくんがそう言うなら、あっ!勇者様がそう言うなら、聖女ユミ・・ユミリン、普段通りにしてあげてもいいわよ」(ユミ)
なんか、ユミって、キャラがメチャクチャじゃねーか?
まあ、いいか。
これなら、大丈夫だ。
よし、ちゃんと言うからな!
「さてと、まだ伝えなくちゃならないことがある。聖女は、4人なんだ」
「「えっ!?」」
「君達二人と、そして、もうひとりは」
「「もう一人は?」」
「白藤紫苑だ」
「「・・・・・・・・・」」
「ああ、君達の言いたいことはわかってるつもりだ。アイツは、護道と付き合ってる。でもな、それでも、彼女は聖女なんだよ!」
「う~~~ん、紫苑は、ちょっとナイかな・・・・」(ユミ)
「・・・・・・・・・・」(早乙女)
「だがな、もし・・もしもだ、何かの間違いかもしれないだろ?アイツは、オリエンテーションの前に、オレと付き合うって言ってくれたんだ・・と思う。えっと、よろしくねって言って、チュってしてくれたんだよ、えっ?」
「「ええっ??!!」」
「そんなことがっ!」(ユミ)
「うそ~~~~!」(早乙女)
えっ?
これは、なに?
いわゆる、地雷と言うヤツかな?
あれ?
イイ感じだったのが、ちょっと・・。
コイツ等の目が、目つきが・・怖いぞ・・オレ、勇者だけど、聖女って怖いモノなのか?
オレは、ウソは言わない。
ほぼほぼ包み隠さず話そうと思ったんだからな。
だからな・・・・。
「ちょっと、いいかしら?」(早乙女)
「はい!何でしょうか?聖女カオリン!」
「・・カズト!黙って置こうと思ってたけど、言わないといけないわね、そういうことなら」
早乙女の目は、真剣な眼差しで、もう笑う雰囲気ではなかった。
ユミも、そんな早乙女と同様、オレを見る目が冷たい。
なんだよ、今までのノリは?
やっぱ、ふざけてただけか?
オレは、早乙女が次に口にする言葉を、背筋を伸ばして、ちょっとビビりながら待つのだった。
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