片想いから始まるファンタジーがあってもいいじゃないか！～～幼馴染をはじめ、誰からも拒絶され病んだオレが勇者となり、苦難を乗り越え世界を守って、マジメに真摯に勇者ハーレムへ突き進む物語

第108話 パンパカパーン！！

「さてと、敵が勇者と聖女の関係について知っているということを前提に考えた場合、敵はなぜそれを知っているのか？」（キィ）

「その関係を知っている者が敵に情報を与えたんだろ？」

「そこだよ。その関係を知っている者って誰だってことだよ。もちろん、初代は知っている。そして、MPの中に知っている者がいるのかもしれない」

「でも、それって？初代もＭＰも、彼等の敵は我々の敵と同じだろ？」

「待て。先入観は禁物だ。まずは、確からしい事実から可能性を考えるんだよ。さてと、次なる疑問は。初代は君に後継者としての資質を僕に試させた。初代に僕は、会わなかった。君は家や保護者を失くした。これは？」

「初代は、もう居ない可能性が高い。それと、ＭＰはオレを見限り、初代はオレを後継者に思った。つまり、意見の対立があったってこと？」

「そうだね。そして、初代は僕に会えなかった。ってことは？」

「MPが初代を排除したか、敵が初代を倒した？」

「MPは初代よりも強くはないハズ。それに、MPは敵にまわったのかというと、疑問がある。彼等は、勇者を育成して、勇者を選定したという情報だ。一体、どういうことだ？」

「敵は外部の人間、あるいは、MPの中の一部の人間？つまり、敵の攻撃により初代は倒れMPの情報も漏れたのでMPが敵ではない、あるいはやはりMPの一部の人間が敵だったがそれは排除できた、とか？」

「勇者認定を、なぜ急いだか？初代が死んで、敵に素早く対抗する必要があったため？それなら、君の言う通り、MPは敵ではない。初代を倒した者が健在なら、MPのチカラなど容易くねじ伏せることが可能のハズだが、MPは存在している。つまり、その倒した者っていうのが、深手を負っているなら、MPはその間に攻撃を受けないように戦力を増強しようとして勇者の認定を早めたってことだとも言える。しかし、初代を倒した者は健在だが、MPをわざと潰さなかったとも考えられる。その場合、MPは敵なのか、それとも味方なのか。とりあえず、新たな勇者が認定された。そいつは、敵にとって」

「ちょっと待ってくれ。まずは、聖女の情報を敵は知っている。MPは真の勇者の認定の仕方を知らない。初代とMPとの対立があったらしい。初代は敵にやられたようだ。敵は、勇者候補に聖女との関係などで攻撃を既に仕掛けていた。MPは勇者の認定を急いだ。ってことは、勇者の存在はイヤだよね。すると、敵には勇者の情報は渡っていないんだから、MPの認定する勇者を攻撃するはずだ。MPは基本的には味方なのでは？」

「そのことなんだが、大前提として、敵はまだ健在だと考えられることがほぼほぼわかった。確かに、MPが敵でないなら、敵はその勇者を攻撃するためにMPを監視下に置いているハズ。聖女の情報はMPから漏れた可能性が高いってことは、MPの中に敵が居る可能性も高いってことだな。初代とMPとの対立があったことから、その辺りで誰かが敵の懐柔を受けたかもしれない。しかも、それはMPの幹部だろうね。そいつはまだ存在し、監視している可能性はある。もしMPの勇者が目障りなら、その勇者に対して早晩、何らかの出来事があるハズだ。そして、もし、何もないのなら、MPは敵になったのかもしれない。とにかく、君は敵の攻撃を受けた。これはほぼほぼ事実。そして、君は、護道との対決で勇者の能力を示したのだろう？それに気がつかない敵ではないハズだ。なぜ、君は無事なんだ？それは、君が勇者候補から外れたからだろうが、ちょっとおかしなこともある・・・・、しかし、用心に越したことはない。これから君は命を狙われるってこともあるのかもしれないってことだ。その覚悟で修行をするべきだな」

「えっ？そういうことになるの？」

「一応の可能性だ。君への攻撃はあった。そして、それは成功している。しかし・・。まだ、不確定要素が多すぎる。ただ、ここまでで考えられることは、MPが敵と何らかの接触あるいは攻撃をうけたであろうこと。そして、最悪はMPが敵になっていて、その場合はMPの勇者は敵の可能性があるかもしれない事。だから、君は目立って行動する事は控えるべきだろうな。君の身に危険が及ぶ可能性があるからね。それと、これは、僕からの忠告だ。まだ、聖女シオンには近づくな。彼女は、ヤバい。いずれは彼女を味方につけねばならないが、彼女については君の実力が向上してからにしろよ」

「何か知ってるのか？教え・・てください！」

「いや、カンだ。カギとしてのカンだ」

「それって、結構当たるのか？」

「僕のカンを信用できないって言うのか？」

「君のカンを信用しないと、アカンのか？」

「それ、カンサイ弁か？なんか、カンじ（感じ）悪い」

「ちっ、キィの方が上手いことを言った？・・くっ、」

　その夜、キィからオレは過酷な訓練を受けた。

　どう過酷なのかは省くが、夜明けまで続いた。

『パンパカパーーン！！大当たりだよ！！パンパカパーーン！！出た、出た！！パンパカパーーン！！責任取ってね♡パンパカパー』

　ガシッ！！

「はい、もしもし・・・」

　何だ！

　この呼び出し音は？！

　いつの間に弄られてたんだ？

　今までのスマホは、弥生さんにより解約されて処分してもらった。

　そして、新しいスマホを渡されていたのだった。

「えっ？今から？・・はい・・はい・・では・・」

　オレは昼前に弥生さんと出会って、昼食とショッピングをし、今、いつものカフェに来ている。

「親分、また新しい、コレですか？」

「小指を立てるな！」

「「「親分！ついて行きます！」」」

「来なくて、いいから！」

　オレ達は、カフェで一息ついていたのだった。

　と、そこへ、ユミがやって来た。

「あれ？藤堂、来てたんだ！席一緒で良いかな？」

「えっ？」

　有無を言わせず、オレの隣に座る。

　で、もう一人が顔を真っ赤にして弥生さんの隣に座った。

「・・・・ごめんなさい！・・あの、全部話すから・・今まで、ごめんなさい！！」

　早乙女だった。