第3話 高校デビュー
高校生になるにあたって、オレは、自分に課題を課していた。
大学受験レベルの学力を維持すること。
これは、既にオレは大学受験の問題を、それも難関大学の受験問題を解けるレベルまで学習しているって事だ。
次に、何か部活に入って、高校生活をエンジョイすること。
どんな部活でもいいが、運動部にしようと思っていた。
次に、出来たら、恋人を作ること。
これは、難題だ。
入試問題より難題だ。
上の二つは、能力の向上で自信はあるのだが、こればかりは、相手があってのことだ。
そして、この課題は、恋人といっても、ホントに好きになった女子限定だ。
好きになってくれた女子ではなく、自らが好きになった女子だ。
複数いれば、複数でも可としよう。
出来ればの話しだが・・・。
次に、親友を作ること。
これも難題だ。
でも、高校生活エンジョイには欠かせない要素だろう。
積極的に他人に話しかけるという難題がクリアー出来て、オレのトラウマは克服できるんだ。
そこで、オレは考える。
友達や恋人を作るには、オレが魅力的でないといけない。
具体的には、性格が明るいこと、話し上手であること、話題があること、優しいこと、イケメンであること、面白いことが言えたり出来たりすること、などだ。
イケメンであるには、そういう顔の作りになろうと中学時代から、修行の成果でほぼ出来上がった。
顔の作りを変えるのも、あの修行で可能だからだ。
鼻はスッキリと通り、小鼻は小さく整った顔立ちで、二重で、優し気な眼差しとなっている。
身体つきも、引き締まった筋肉がつき、背丈も伸びた。
客観的に見て、良い男になったと思う。
それから面白いことはと言えば、例えば、ダジャレとかだ。
オレは、いま、それが瞬時に出る訓練をしている。
更に一発芸とかがあればと思ったが、芸人になるわけではないので、今は考えていない。
話題は、そこそこ知識が豊富になったので、面白いことも言えるはずだ、と思う。
こうして、オレは、高校への準備を整えて、入学式を迎えた。
新しいクラスは、特進科は一クラスのみで、3年間一緒だ。
さあ、我がクラスの友たちは?
そう期待を込めて、教室へ入った。
同じ中学の生徒が数人いて、オレの所へ来た。
オレは今まであまり話したことが無かったが、それはみんなも同じようで、心細くならずに済んだ。
「お前、藤堂だよな。なんか、お前って、見る度にカッコよくなってるよな!」
「あはは、そうか?(ここで、笑いながら会話に入るっていうのが一つの技だ)」
「藤堂君、覚えてる?わたし、
たしか、中3の時のクラス委員長だった人だ。
「えっと、どう意外なんだ?」
「だって、中学の時のあなたのあだ名って、スーパーマシーンだったけど、今は意外と話しやすいって言うか」
「だははは、藤堂、オッス!お前のそのあだ名、オレが付けたんだぜ!」
「お前、それ自慢することか!」
最初に話しかけてきたのが、
勉強はもちろん、運動も良くできるし、性格も良いヤツ。
ちょっと、細い体形で、シュッとした顔の一重瞼のイケメン君。
オレ程ではないが。
次にオッスと馴れ馴れしく言って来たのが、
面白いやつで、丸顔の少し小太り体形で、食いしん坊のようだ。
「さゆりん、わたしも紹介して」
「ああ、この子は、私の親友、
「あの、高校からは少しは、人見知りを解消したいと思ってます。みんな、話しかけてね」
「はいよくできました。そういうわけだから、男子、一葉をよろしくね」
「ふぅ~ん、一葉ちゃん、可愛いね」(横山)
「あんた、うちの一葉に、手を出さないでくれる?」
「一葉って、葉っぱが一つって書くのか?なんか、いいかんじだね!」(オレ)
「おっ!おまえ、感じと漢字を掛けたな!なかなか言うじゃん」(松村)
「そ、そうか?」
「うふふふ、一葉、赤くなってるし」
「おい、一葉に手を出すなよ」(横山)
「はあ?藤堂君はいいんだよ」(小百合)
「はあ?なんだ、それ?」
「そういう事よ。文句ある?」
なるほど、そういう事か!
使えるぞ、これ!
横山のように、可愛いねって、今度サラリと言ってみようか。
「・・・ないけど、イケメンは得だな、おい、藤堂!」
こいつの声がデカかったので、周囲の女子がオレを見つめる。
その中に、あの幼馴染の白藤紫苑がいた。
オレにはすぐにわかった。
まあ、このクラスの生徒の名前はさっき確認して暗記してるから、こいつが同じクラスになったのは知ってるけど。
高校生になり、さらにさらに可愛くなっていた。
可愛く少し波打つショートボブの髪型に、笑うと楽し気な表情が魅力的で、パッチリとした二重の目が更に可愛さを引き立てている。
鼻は小ぶりで、頬はふっくらとして、突っつきたくなる感じで少しピンク色だ。
色白で、少し背が低めなのも変わっていない。
小学生の時は、そんな彼女よりも背が低かったよな、オレって。
中学時代の彼女のことは知らないので、付き合ってる男が居るのかも知らないけど、やっぱり、紫苑は一番可愛かった。
オレは、彼女を凝視するわけにもいかず、視線を切った。
そして、名前の書かれた席へ着こうとした時、紫苑が笑いながら男子と話しているのを見た。
誰だ、あいつ?
オレの心に、さざ波が立った。
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