第2話 可愛いあの娘

 不登校のまま、小6になった。


 そして、直ぐに、両親は離婚した。


 オレは、一人っ子だったが、不登校となったオレに対し両親は面倒に思い、どちらの親からも引き取りを嫌がられた。


 しかし、昔可愛がってくれた母方の祖父の妹さんがオレを引き取り、その家で暮らすことになった。


 祖父の妹さんは、子宝に恵まれなかったので、いつか子供を育ててみたいという思いがあったらしい。


 オレは、小学校までは不登校でも良いからと言われ、代わりに、この妹さん夫婦(ややこしいので祖父母という事にする)からいろいろと学んだ。


 祖父は、ステキでお茶目な爺さんだった。

 でも、それだけではなく、オレにいろいろな課題を与えてくれて、オレは、それをこなそうと必死に努力をした。


 その内容は、とても特殊なもので、他人には言えないのだが、要するに頭脳の使い方を教えてもらった。


 爺さんいわくの究極の頭脳の使い方の基本を習得すると、その応用は頭脳と身体の発展途上であったオレにとって、各種の技能の習得に役立った。


 その各種とは、簡単に言うと、究極の速読法や、究極の体力向上法とか、究極の武術の習得法とか、究極の勉強法など、そういったことだった。


 ただ、究極の恋愛成就法とかは教えてくれなかった。


 オレは、それを教わらなかったことを、後に後悔することになった。


 さて、爺さんに教えられながらの中学時代では、どこの部活にも所属しなかったが、この祖父母の地区の中学へはちゃんと通った。


 ただ、行って、直帰する生活であり、オレは他人に話しかけるのが怖かったので、友達はできなかった。


 話しかけてくる者はいたが、オレは、迂闊にそういう者達を信用しなかったので、もちろん、関係性が築けるわけもなく、ましてや、女子から告白されても、拒絶するだけだった。


 なぜ話しかけてくるヤツがいたのかは、オレが常に学年トップの成績であり、走る速さも加減したけど一番だし、長距離走も一番だし、授業のバスケやバレーボールも一番上手かったとかがあったからだと思う。


 もちろん、それは、祖父母からの教育の賜物だった。


 だから、ボッチとはいえ、一目も二目も置かれていたので、イジメられることはなかった。


 そんな中学時代に、家の近くのコンビニへ時々、気晴らしに行くのだが、そこで時々見かける可愛い子がいた。

 その子は、学校がある時間帯に限って出逢うのだった。

 だから、そういうことなのだろう、オレと似ていると感じていた。

 オレの一番の楽しみは、その子に出逢う事だった。

 別に、話しかける訳でもなく、もちろん、話しかける勇気などないのだが、ただ彼女を見るだけで、それだけで、オレは幸福感を抱いたものだ。


 オレは、中学校には通ってはいたが、週の2日くらいは休んだりしていたので、そんな時間に行けたのだ。


 それは、祖父母が流石に歳のせいで、介添えが必要な時があったり、家事を手伝ったり、家の事を手伝ったり、畑仕事を手伝ったりといった理由もあったが、実は精神科へオレは通っていたのだった。


 あの事件とか、他人から無視されるとか、イジメとかで病んでいたオレの心に、両親の離婚とオレへの養育拒否ということが更にのしかかって来た。


 その結果、精神に負荷がかかり、オレの存在理由が否定されたと思って、心が死んだからだった。


 とにかく、そういう理由もあって、特別に学校側も定期的に医者からの報告を受けるという条件で、そういう登校となるのを許してくれた。


 だから、特に、学校の試験とか、実技科目でも手を抜くことなく、オレは頑張ったのだった。


 成績が良かったのと、精神科の医者の完治の報告を受けて、学校側は校長の推薦状までつけて、この地方で一番の進学校の特進科への受験を認めてくれて、オレはその高校に合格した。


 祖父母は喜んでくれたが、オレは、その高校のある街が、あの小学校のある街と同じで、当時の同級生と一緒にならないかと不安だった。

 いや、必ず、誰かと一緒になると思った。


 そして、それは、現実となり、しかも、一番心に引っかかってやまない、あの子だったのであった。

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