第26話

 転移陣で10階に到着して早速武器の準備をして次の階に進む。ここまではちょくちょく人もくるのでサクッと16階までやってきた。

やっぱりゾンビは見た目も汚いし、臭いし燃やすに限るね。


 前回のように火をつけ、風を送り込み燃やす。宝石や魔法石を拾いながら17階へ行く。


17階ではアンデット系のモンスターがウロウロしている。討伐しながら18階へ。18階も同じ様だ。どんどん燃やす。アンデットよ、燃えてしまえ!


 おばけとか怖いから自分に加護や結界を付けておこう。今更だけど!


 19 階はどうやら休憩ポイントらしく、敵は居なかった。テントを広げて少し休憩するかな。【クリーン】を掛けテントの中に入る。


もちろんテントの周りには結界を付けてある。魔力回復まで少しゴロゴロするかな。


[ドンドン]


ゾンビ?ちょっとドキドキしながらテントから顔を出すとルシアンだった。


「よお!ここに居ると思ったぜ」


「ルシアン、15階大丈夫だった?」


「おう。オリーブの聖水のおかげで楽に越えれたさ。飯はもう食べたのか?オリーブの作る飯が食べたくて仕方なかったんだ」


「ご飯食べてない?」


「今日はまだ食べて無い。腹へった」


仕方ないなぁと思いつつ、いそいそとテントの外へ出てご飯準備に取り掛かる。野菜スープを作り、ホーン肉のステーキとパンをルシアンに渡す。ルシアンは美味しそうにパクパク食べていく。パンは2口で平らげてしまった。


「やっぱり美味いね。オリーブの料理。この間はごめんな。邪魔が入った。」


「彼女と結婚?」


私は直球で聞いてみるとルシアンは凄く驚いた様子。


「ははっ。まさか。あんな奴、こっちからごめんだわ。俺の背負った借金の原因だよアイツ。俺が冒険者になったばかりの頃、俺の世話を焼いてくれたのがロイという男、ローザはその妹なのさ。


ローザと母親は金遣いが荒くてな。父親が亡くなってからロイは冒険者となって家族を養っていたんだ。だが、魔物に付けられた傷が原因で死んじまった。ロイが死んじまってからもローザ達の生活は変わらなくてな。


ロイに世話になっていたから人助けと思い、ローザが借金で奴隷に落ちる前に俺が借金を肩代わりしたんだよ。

何を思ったか、俺と結婚すれば楽に暮らせると色目を使って寄ってくるようになった。肩代わりした借金もこれで返済終了だ。

ローザともさらばだ。一度助けたんだ。後は自分達で何とかするだろう」


ふうん。ルシアン、借金の肩代わりなんていい人過ぎるわ。


「俺がここで待っていたのはオリーブに会いたかったからだ。俺と正式にPTを組んでくれないか?」


「私、訳ありの女。犯罪者ではないが。ギルドランクもBより上げない。お金貯めて安住の地を探し、家を買い、引き籠る。PT長く続けない」


「いいんじゃないか?俺はオリーブと少しでもPTを組みたいんだ」


「分かった」


「これから宜しくな!」


「宜しく」


また2人でPTを組む事になった。彼女はルシアンの恋人では無かったのね。


「そうだ。20階は一人では結構キツかったんだ。20階のボスはボーンドラゴンだ。ドラゴンの中でも一番弱いが、それでもドラゴンだ。かなり強い。俺も一度しか倒してないんだよな。今回はオリーブと一緒だから倒せるはずだ」


食事も終えて魔力も回復したのでテントを畳む。次の階のボスにチャレンジ!


「ルシアン。少しだけ、身体強化付ける」


魔法で【身体強化】を掛ける。そして同時に【幸運】の加護をこっそり付けた。幸運ってどんな効果なのか。絶対絶命のピンチを避けるとか?無いより有った方がいいよね。



「ありがとな!よし、行くか。」

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