第17話

「おじさん。着替えていい?」


「まったく。。。ああ、いいぞ。ついでに荷物も一式持ってこい。部屋の移動だ」


 部屋に戻ってから侍女にドレスを脱がせてもらい、いつもの服装になる。部屋を出ると、宰相ぽい人が待っていた。


「お前は平民だ。ここで暮らすのは違う。分かるな?餞別だ少し持っていけ。殿下に気づかれる前に国を出てもらう。戻ってくるなよ?だが、追い出す形となるのだからせめて希望位は聞いてやろう。希望の国はあるか?」


やはり、グレンと引き離すためだったか。しかも、部屋移動と称して国外追放ときた。まぉ、こればかりは仕方がない。身分差って大事だと思うし。


「分かった。東の国がいい」


 そう答えると宰相ぽい人はお金の入った袋を投げてよこし、兵士に指示をして消えて行った。お世話になった侍女さんにはお礼を述べて握手をする。『侍女さんに幸せが訪れますように』そう言うと侍女さんが一瞬だけ光ったような気がした。もしかして、加護を付けてしまった?


 侍女さんとの別れの挨拶もそこそこに無愛想な兵士が私を乱暴に連れて行こうとしていたが、最後になるならせめて私に送らせて欲しいとここ数日で仲良くなった護衛の人が国境まで送る事を買って出てくれた。


馬車に私を乗せ、いざ出発。途中で魔物が出ても困るから馬車と護衛の人に分からないように【聖なる加護】を付けてみた。やっぱり使えたわ。王宮の図書館にあった聖女の魔法について読んだんだよね。


連日通い詰めて良かった王宮図書館。


やっぱり使える聖女の魔法。東の国の検問所まで送ってくれた護衛の人にお礼と王宮へ帰るまでの旅に危険が無いように【聖女の加護】を付けてあげると泣いて喜ばれた。


さて、検問所だわ。ドッグタグを出して東の国に入る。


 さよなら、ヘルマン国。


 こんにちわコントル国。


 さて、関所から一番近くの村まで徒歩1日らしい。次に近い村は徒歩3日。頑張るか。


 ヘルマン国を追い出されたのだし、やっぱり殺しておきましょうと追手が掛かっても嫌よね。人目が付かなくなるまで歩いて、【カラーチェンジ】。

あまり似合わないけど、オレンジにしてみたわ。次のギルドで名前も捨てるかな。


 魔鳥や魔猪等を狩り、魔物専用マジックバッグに入れる。数日は王宮滞在で冒険出来なかったけれど、我ながら冒険者が板についてきた感じ。


 今日は疲れたし、早めのテント。はぁ。テントの中で一人になると感じる寂しさ。なんだかんだでグレンといて楽しかったのだけどな。


やはり寂しいのは嫌だ。


1人になると寂しさが込み上げる。家族から離されてようやく1人に慣れたのに、また1人になって、寂しい想い。


もう、誰ともPT組まずに一人で生きて行こう。


 遠い方の村を目指して歩いて、丸3日。ようやくトルナの街に着いた。


村と聞いていたが、村では無く、街だったようだ。ギルドに行って受付に聞いてみる。


「改名したいけど、履歴は残るの?」


「いえ。このドッグタグは名前ではなく、魔力を認識しているため、犯罪者以外は改名は可能です。改名した事は履歴に残りません。

Aランク以降の方は魔力登録をギルドに改めて登録してもらい、ドッグタグの仕様が変わり、居場所の把握やこちらから単純な連絡を送る事が出来るようになっています。

Bランク以下は連絡のやり取りは出来ませんし、位置も把握は出来ませんので身元確認のドッグタグは必ず首から下げていてくださいね。」


「分かった。改名する。名前はオリーブ。もし、旧の名前を聞いてくる人がいたら改名した事や名前、教えないで欲しい。」


「オリーブさんですね。了解しました。」


 低ランクの人なんて一杯いるから名前は把握しきれていないんだろうなぁ。

まぁ、改名出来て良かった。


「オリーブさん、素材の報酬ですが、今回は10万ギルとなります。」


いい値段だね。ギルドで教えてもらった宿に向かい、宿泊の手続きわする。今日はもうベッドでゴロゴロタイムだ!改名も果たせたし、髪の色も変えた。


後はローブの色も変えてみようかな。今回はカーキにしてみるかな。オレンジにはちょうど良い感じ。


さて、そろそろお休みなさい。

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