第11話
翌朝、日も明けぬ間に起きたし、そのまま宿を後に。あれ?誰か入り口に…。
「待ってたよ。酷いなぁ。俺を置いて行こうとしただろ?」
グレンが居たわ。ぐぬぬ。裏を欠こうとしてバレていたのか。流石Aランク。勝てる気が全くしない。
「このままギルドへ寄って行こう。君のランク上げをしないといけないからな」
私は和かなグレンに促されるままに向かいのギルドへと立ち寄る。どうやらギルドは24時間営業のようだ。グレンは俺に任せろと言っていくつかの魔物討伐依頼を取り、受付へ出していた。
「ギンコさんの討伐依頼受付ました。討伐完了手続きは隣国のナアド村ですね。連絡しておきます。では行ってらっしゃいませ」
「ふぅん。君、ギンコって名前なんだ。宜しくね」
またもやギルドで名前がバレる。毎回なんとかならんか?って思うね。まぁ、本名じゃないから良いようなものだけど。
グレンと共にホランの街を出る。何故黙って一緒に行こうと思ったかって?それはつまりAランクのグレンから逃げきれないと思ったからね。
寄り道をしながら討伐していく。グレンは流石Aランク。教え方がとても上手かった。
上級魔法も使えるらしく、丁寧に教えてくれた。上級魔法が使えるなら魔法使い要らなくね?って疑問に思うのは私だけだろうか?
本日はやはり野宿となった。私はテントテキパキと張り、寝袋を出し、結界を張る。それを見たグレンは驚いた顔をしている。
「何?」
「だって、ギンコ、結界使ってるんだよ?結界使える人は貴重なんだ」
そうだったの??
「グレンのテントにも張る。ゆっくり寝て」
結界をグレンのテントにも張る。一緒にしないのは私のテントにはグレンが入れないようにしてるから。内緒だけど。
ようやく、待ちに待った自炊!グレンと私のテントの間のスペースに火を起こして鍋をセットする。魔法で水を出して持ってきた野菜を切り、干し肉を入れスープを作り味見をする。
うん。美味しい。
ポーチからパンと器を出し、グレンにも渡す。
「美味いな。野宿では干し肉とパンで過ごしてるから温かい料理は助かる。やはりパートナーをギンコにして良かったよ」
コイツは色々と大丈夫なのか??こっちが不安を覚えるわ。
「パートナーになった覚え、ない」
「聞いていいか?何故上級魔法や特殊魔法が使えるのにギルドランクEなんだ?」
「特殊魔法って?」
「知らないのか。ギンコの使っているマジックポーチやこの結界さ」
「それは魔法屋のおばばが用意した本を買って読んだから」
「ふぅん」
グレンは何やら考えている。
さて、食事も済んだし、テントに入る。今回は長座布団のような物を買いましたー!寝袋もこれで快適。テント内で【クリーン】を使用し、快適快適。お休みなさい。
次の日は朝起きてサンドイッチを用意する。お茶とサンドイッチをグレンに渡すと喜んで食べている。餌付けしている気分だわ。
2日目、3日目と討伐、討伐。討伐の繰り返し。Cランクってこんなに討伐数無いんじゃ?剣も少し使いながら討伐していく。
4日目ともなると討伐した魔物にも見慣れて処理も上手く出来るようになった。パンもそろそろ底をついたので仕方なく、この日の朝から小麦を水と塩で捏ねた物をマジックバッグに入れておく。
今日は早めに討伐が終わったので魔物肉のスープに寝かせた生地をひっつみにして洋風ひっつみ汁を作ってみた。
グレンは初めてみたようで物珍しそうにしていたが、食べて美味しかったらしくお代わりまでしていた。
「ところでギンコ。君はいつまでそのローブを被っているつもりだい?汚れないのか?」
「気に入って着ている。清浄魔法でいつも綺麗」
「清浄魔法を使っていたのか。俺にも使ってくれ!俺、使えないんだよ」
「逆に聞きたい。今までどうやってた?」
「え?普通に水魔法で洗濯してたぞ?干して風魔法で乾燥。洗濯って地味に面倒なんだよな」
何と!そんな方法で今まで過ごしてたのか。
グレンに【クリーン】をかける。
「ありがとな!そうそう、明日には次の村へ到着するからな。今日は早めに寝とけ」
翌朝、残りのひっつみ生地をその辺で摘んだ野草と一緒に煮込んで食べる。もちろん味付けはしっかりしている。
朝は消化がいい物が一番よね。
テントを片付けて街道に入り、ようやく村に着いた。早速、ギルドへ討伐完了手続きに行く。
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