第10話

 ようやくホランの街に到着。歩く事2日半。いやー、長かった。この2日半で野宿スキルは格段にアップしたと思う!火起こしだって出来ちゃったし。料理も次回は挑戦する予定。


この街は首都程では無いけれど、賑やかな街の印象。


歩き疲れたし、早く休みたい。宿を取るにも何処が良いか分からない。やはりそういう時こそ冒険者の店かギルドで聞くのが一番だと思うわ。幸いな事に街に入ってすぐにギルドの看板が掲げられている建物があった。

 

 これはもう入るしかない!


 早速ギルドに寄り、受付のおじさんに宿の場所を教えてもらう。安全で安心価格の宿。ギルドの向かいの宿が安くて評判が良いと教えてくれた。あと、この街自体も王都より治安が良いらしい。 


そこ、地味だけど重要だよね!


ギルドを出てすぐの宿に入り空きがあるか聞いてみるとこの時期は空いているようで女将さんから『歓迎よ!!』と宿泊出来る事になった。案内された部屋は簡素だったが、清潔そうで良かった。今日はもう、ゴロゴロする。


翌日は少しゆっくりめに起きてギルドに赴いた。朝の受付がひと段落しているからか人もまばらで落ち着いた雰囲気になっている。さて、今日は何を狩ろう。依頼掲示板と睨めっこをして低ランク高収入を探す。


「ギンコさんですね。ホーンラビット10頭の討伐にしますか?」


「する」


 受付で説明を聞いてからホーンラビットを探に行く。討伐依頼書には南側って書いてたな。南を目指して少し歩くといましたよ。群れで。


ホーンラビットって初めて見たけど、可愛いウサギ、ではなかったわ。想像より目がギョロギョロでちょっと怖い。可愛くないし、サクッと終わらしちゃおう。私はアイスショットで1匹倒すと、ギョロ目が一斉にこちらへ向いて一気に襲いかかってきた。やばい。30匹はいるよね!?


「アイスショット、アイスショット、アイスショット、・・・」


 数の多さに必死に魔法を出して気付く。私無唱詠だわ。なんとか魔法で全部倒したわ。全部倒してから気づいたけど、範囲指定して倒す上級魔法で良かったんじゃね?


咄嗟の判断を間違えないようにするにはいくつもの戦闘経験を重ねていくしかないね。まぁ、無唱詠が出来たから今日の収穫よね。


 倒したホーンラビットを縄で括り付け魔法で浮かして持って帰る。マジックバッグを汚したくないんだよね。


はっ、討伐用バッグを作ればいいのか。いい事に気づいたね私。(今更!?)


ロープで引いて歩く姿は何処と無くお祭りの犬の風船を連れて歩いている気分。見た目は超グロだけどね!


 ギルドに戻り、精算する。


「ギンコさん30匹の精算と討伐完了報酬で20万ギルです」


うむ。中々の稼ぎだわ。聞いた話ではやはり食用となる魔物は高めに引き取ってくれるらしい。


 早くこの国を出たいのでこの街ではこれくらい稼げば充分だね。明日からの旅用の食糧を買い込み、宿に戻る。


 宿屋の1階の食堂は人気らしく、賑やかだ。早速、部屋に荷物を置いて晩ご飯を食べに食堂へ向かう。端が空いているし、丁度いい。注文した料理を食べていると声がかかる。


「隣に座って良いかな?」


「嫌」


「まあまあ、そんな硬い事言わない。君、魔法使いなんだよね?」


顔を上げて声を掛けた方を見る。そこには何ともチャラそうな男がいた。


「俺はグレン。これでもAランクの剣士。各国を旅して回ってんだ。ちょうど魔法使いがパートナーに欲しくて探してたんだよ。君、俺のパートナーにならない?」


「嫌」


「そこをなんとか」


「パートナーにならない。明日この国発つ。それに私のランクE。無理」


フードを深く被ってのご飯は食べにくい。が、人目にこの顔を晒したくない。地味な魔法使いでいたいのよ。


「ちょうど良い。俺も付いていくわ。隣の国に到着する間に討伐こなしてランク上げればいい。よし、決まった。明日昼前、宿の前で待ち合わせな!」


そう言うとグレンは食堂から出て行った。

何!?その有無を言わさぬ感じ。食事を終え、部屋に戻る。


明日は早く出よう。


荷物をポーチやリュックに詰めて早めに寝ます。

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