第6話

 今日から本格的にギルドの依頼を受けてみる。依頼掲示板に張り出されていた一番簡単そうなゴブリン退治の依頼。ゴブリン自体は弱いらしいが定期的に依頼を出して間引いておかないとゴブリンを狙って強い魔物が徘徊し始めるのだとか。魔物の世界も厳しいのね。弱肉強食。


 結果、この依頼も難なくこなせた。思ったより討伐は平気だった。血みどろが怖くて倒せないって事は無かったかな。案外自分で思っていたよりも神経は図太いのかも?


ゴブリン素材は微々たる物であったが換金できた。


 次はホーン討伐に行こうかな。そろそろ小遣い稼ぎではなく、生活出来る程の収入が欲しい。買取値段表を見ると肉の買い取りが高いみたいだし、報酬も他のより高め。


西の森か。


西の門番さんに挨拶して西の森に向かう。


 西の森に入ったはいいけど、歩き回っても一向にホーンは現れてくれない。歩き回るうちに小高い丘に出てしまったけれど中々居ない。


ん?


何か騒いでいる声が聞こえる。声がする方向を見ると、ホーン5頭にやられてるね。3人が。


助けに行きたいけど、ホーン私初心者だしね。まぁ、あの3人は剣や斧の物理攻撃ばかりだから手伝えるかもしれない。それに依頼もクリアできそうだし、ヤっちゃう?


私は軽いノリで背の高い草に隠れながらそっとホーンに近づき、頭に向けてアイスランスをお見舞いする。良かった。1頭は倒せたみたい。


そのまま2頭目を【ウィンドカッター】で首をはねた。他の3頭も3人に気を取られて私に気づいていない。この調子で残り3頭も難なく倒せた。


なんだ、私、強いのかも知れない!!ちょっとデカくてグロッて思ったけれど、慣れるもんなんだね。クリーン魔法で綺麗にしてホーン5頭を魔法で浮かせて持って帰ろうと歩き出した時に声を掛けられる。


「あ、あのっ、ありがとうございます」


はっ!忘れてたこの人達の事を。結果的にホーンの横取りをしてしまったのかも私。


「ホーン、いる?」


「いえ、助けて頂いたお礼を」


「お礼、要らない。じゃ」


 さっさと帰るわ。あまりこの国の人に関わりたくないし。門番さんは5頭のホーンを見てギョッとしていたが気にしない。さっさとギルドに向かった。


「買い取り、お願い」


「ギンコさん、お帰りなさい。ホーン5頭ですね。上手に血抜きもされているので少し高めの値段を付けますね」


おぉ!そうなのか。首はね血抜きは高収入に繋がるのね。


「お待たせしました。ギンコさん。20万ギルになります。銀行に入れておきますね」


おぉ!すげぇ。宿が一泊5千ギルだからかなりいい値段。さて、帰るか。その前に魔法屋に寄らねば!


「あら、いらっしゃいな。魔法は使えるようになったかい?」


「おばあちゃん、ありがとう。おかげで前に買った本の魔法が使えるようになったよ。今日は魔法書の上級とマジックバッグの作れる魔法書が欲しくてきたの」


「おやおや、覚えるのが早いこと。これが上級の書。これがマジックバッグの書だよ。全部で7万ギルだよ」


 決して安くはないけど、今なら買える!王から貰った資金はあるけれど、あまり使いたくないんだよね。お金を払ってさっさと宿に戻り引き篭もる。

 

上級の書も手に入れたし、お金もまだある。稼ぐ手段も見つけたし、そろそろこの国ともおさらばだね。


ようやくだわ。


こんな国早く出て行ってやる。


 宿に着いてからの引き篭もり内容はというと、部屋で一人マジックバッグ作り。ポーチとリュックに魔法をかけてみた。マジックバッグを作る魔法は使える人と使えない人がいるらしい。私は使えて良かったよ。


 実はこの魔法は専門の職人がいるみたい。魔法書の注意書きに『上手くいかない人へ』と書いてた。あると便利よね。


残念ながら私の作ったマジックバッグはただ物が入るだけで時間が止まるという機能は無かった。残念。


そのうち作れるように頑張るわ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る