第4話 ルイスside
僕の名前はルイス・トール。21歳。魔法使いだ。僕が王国魔法使いとなった頃、王命により聖女召喚の儀式をする事になった。今まで誰もなし得なかった事に携われるのはとても誇らしい。
毎日毎日、何年も僕は先輩魔法使い達と魔力を魔法陣に流し、聖女召喚で召喚された女の子、桜。一目で好きになってしまうほどの美しさ。結果として、彼女は魔力無しで街に追放となった。
右も左も分からないこの世界で街に捨てられれば、犯罪に巻き込まれるか娼婦となるしか無くなる。
けれど彼女は泣き寝入りする事なく、自ら陛下と交渉し、資金や知識を得る事が出来た。凄いね。
桜は美人だし、可愛いし、控えめだし、真面目で勉強家で素晴らしい。すぐにでも僕と結婚して欲しいとさえ思う。だが、僕は国の魔法使い。豊富な魔力を持つ子どもを作るべく、政略結婚をする身。間違っても魔力無しとは結婚出来ない。しかしながら愛人として囲う程の財力はない。
知れば知るほど桜の良さが見えてくる。美人な上に知識量も豊富、剣術も中々の腕前になりそうだとの評判。僕の彼女に出来ないのが悔しい。仕方がない、今は手紙のやり取りをして財力を蓄えたら迎えに行くよ。
・・・手紙が送れない。彼女はもしや桜ではないのか?
市井で暮らしている黒髪の女の子はそうは居ない。仕事の無い日は街で彼女を探してみるとするか。
数日後、召喚後から桜が街に降りるまでの事を報告書に纏め宰相に提出すると、宰相の手が慌てた様子で口を開く。
「桜はまだ街にいるのか?探せ!」
「宰相様、如何なされたのですか?」
僕は宰相が慌てている理由がよく分からずに聞き返す。
「馬鹿者!気付かないのか!?桜は報告書に書いてある通りならここの世界より文明が進んでいるのだそ?異世界人の知恵が有れば文明は発展する。生活水準も上がり他国との戦争も勝てるのだ。金の卵ではないか!!」
あぁ、追い出した後にそれか。もっと早く気付いてくれよ。
「しかし宰相様。陛下の命令で街に降ろせと。桜を呼び出そうにも連絡が取れないのです」
そうして王都を始め、国中に触れを出すが桜を見つける事は出来なかった。
何処に行ってしまったんだ。後悔しかない。
僕の桜。
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