第3話 クララとお日さま/カズオ・イシグロ

ここ数年でノーベル文学賞に選ばれて納得、と思えるカズオ・イシグロの最新作である。

カズオ・イシグロの小説の上手さというのは設定を説明しないことにある。

SFやディストピアというジャンルにおいて作者は設定を長々と書きがちで読者を飽きさせるが、カズオ・イシグロは「場面を丁寧に描く」ことによって読者を引っ張っていく。

クララとお日さまは「AF」アンドロイドフレンドの視点で書かれている。

ここが、すごい所なのだ。

Siriやアレクサなど人口知能を持った、人型のロボットが何を考えるか、人間のことをどう思うか。新鮮な視点だ。

クララ高い洞察力で人の心の揺れ動くストーリーが紡がれる。カズオ・イシグロの美しい文をたっぷり読める本である。

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