第29話 卒業
あっという間に高校生活が、今日、この卒業式をもって終わる。
長いようで短い。でも、充実した日々を過ごせた。
式が終わり、みんなワイワイ賑やかだ。
泣いてる人もいる、清々しい表情の人もいる。
そんな中。
「
「うんうん、
寂しがりやな聡。大丈夫、君には居るじゃないか大切な人がさ。
「弦大、大丈夫よ!聡の事は私に任せなさい!」
ですよねー、
「弦大、3年間ありがとね」
「いえいえ、こちらこそ」
「たまに会ったらよろしく」
「うーん」
「何で考えんのよ!」
そんな会話を終えて。
「さてと」
僕は席を立つ。
「行くの?」
「うん」
「私はもう朝に聡と一緒に行って話したから」
気を遣われた。
「「ごゆっくり~」」
聡と優愛がニヤニヤしていたのは見なかった事にして。
そんな2人に見送られながら、僕はある場所に向かった。
※
「やあ」
「弦大君!」
変わらずの君。
「卒業しちゃったね」
「だね」
この2年間、ほぼ毎日通った教室の1つ。
君に会いたくて、自然と足を運んでいた。
「4月から大学生だよ?」
「実感がないなー」
「だよね」
そう、4月から大学生なのだ。
「大学は違うけど、会えるよね?」
「もちろん」
別々の場所になっても、会おうと思えば会える。
僕はそう思ってるんだけどなー。
「弦大君」
「ん?」
「ありがとう」
この言葉に、いろんな事が詰まっての一言なんだろう。
「こちらこそ、ありがとう」
僕も、返した。
すると、ゆっくり僕に近づいて来た。
目の前にいる。
「これからも、よろしくね」
満面の笑顔だ。桜よりもとても綺麗な素敵な君。
だから、僕は、言えなかった事を言う。
「こちらこそよろしく、みずき」
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