エピローグ

 大丈夫かなー。

「どうしたの?」

「うーん」

「お母さーん!」

「しーっ!」

「だって、お父さんが考え事していたら呼ぶ約束なんだよ?」

 ダメだ、やっぱり頼りにならないようだ。

「大丈夫、大丈夫だから」

「本当に?」

「うんうん」

 5歳の娘にも心配される父親なんて、情けない。

「よし、出来た」

「呼んでも良い?」

「うん、良いよ」

「お母さーん!」

 娘は走って呼びに行った。

 部屋の電気を消す。準備万端。

 ガチャリ、ドアが開いた。来た。

「どうしたの?あれ、電気が・・・あっ!」

 よし、今だ。

「「お誕生日おめでとー!!」」

 娘と一緒にクラッカーについてある紐を引っ張った。

 パパン!紙テープなどが出てきた。

「お母さん、ロウソクの火を消して!」

「はいはい」

 椅子に座った君は、ふぅーとロウソクの火を消した。

 パチパチと娘と一緒に拍手をして、部屋の電気をつけた。

「わっ!凄い!」

「お父さんと一緒にケーキ作ったの!」

「へぇー♪」

 型が不恰好なのは見逃してくれ。

「じゃあ、切り分けるね」

「うん」

 ケーキを三等分に切り分け、皿に盛った。

 僕も席についた所で。

「「「いただきます」」」

 僕と娘で作った、手作りケーキ。

 君は一口、食べた。

「美味しい!」

 良かったー。

「大成功だね!」

「そうだね」

「みずほも食べるー!」

「あー、待て待て」

 前掛けを着けて。

「はい、どうぞ」

「はーい!」

 美味しそうにケーキを食べる娘。可愛いな。

 僕も一口、パクッ。

「うん、美味しい」

「美味しいねー!」


 妻のみずきの誕生日会は大成功に終わった。

 笑顔の絶えない明るい家庭で、僕は幸せです。


                 おわり

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