第27話 疑問
この数日間、互いに隠してきた事を打ち明け合った。
それで関係が壊れる事はなかった。
そこが安心したなーと。
話して何かが変わるなら、それまでの関係と思って、下手したら別れていたのかも。
うん、大丈夫で良かった。
ただ、疑問もあったりする。
そこを聞いてみよう。
※
「みずきさん」
「はい、
いつ見ても綺麗な顔だなー。
「どうしたの?」
可愛いなー。
ぷにっ。
「弦大君、大丈夫?」
「あっ」
僕は人差し指でみずきさんの頬をつついていた。
「ごめん」
手を引っ込めた。
「良いけど・・・」
「うん」
「ぼーっとしてる時に無意識はダメ」
「はい、反省します」
「なら、よろしい」
無意識とはいえ、僕は大丈夫だろうか?
不安だな。
「みずきさん、この前の事でさ」
「うん」
「少し気になる事があって」
「何かな?」
一息吐いてから。
「その・・・僕と会った時、大丈夫だった?」
「というと?」
「あんな事があったなら、男の人に対して恐怖心とか拒絶とかなかったのかなーと」
あんな酷い事がきっかけで、男性恐怖症になってもおかしくない。
「覚えてない?高校受験の日の事」
えーっと何かあったかな?
「弦大君、誰か助けなかった?」
うーん・・・あっ。
「筆箱を忘れたって言っていた女の子に、予備の鉛筆と消しゴムを渡したような・・・」
「いつか返さなきゃと思って・・・はい」
みずきさんの手元には、その時の鉛筆と消しゴムがあった。
「もしかして・・・でも、その子は黒髪だったような」
「ごめん、ウィッグ使ってました」
「てことは、あの時の子は」
「そう、私だよ」
まさかの新事実。
「初めて図書室に弦大君が来た時、直ぐ分かったの。あの時、鉛筆と消しゴムを貸してくれた人だって」
そうだったんだ。
「だからね、弦大君の事は怖くなかったの」
嬉しいな。
「弦大君、受験の日もいろんな人にぶつかりながら歩いていたから、この人大丈夫?って思ったよ」
「あー」
その時の自分、バカだなー。
「でも、大丈夫だったから良かった」
「こちらこそ」
返事は正解?
「ふふ♪」
「ん?」
みずきさんがじぃーっと僕を見詰める。
こういう時ってどうすれば?
とりあえず、うーん・・・。
考えていると。
「鈍感なんだから」
とか言われて、頬に柔らかい何かが当たった。
「えっ」
目を丸くしてみずきさんを見ると、彼女は頬を赤くしていた。
「教えないからね!」
と言って、図書室から出て行った。
うーん、もしかして・・・えっ?
冷静に考えたら、理解した。
みずきさんは僕の頬にキスをした。
だんだんドキドキしてきた。
頭の中が、ふわふわしてきた。
とりあえず、考えないようにしよう。
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